絵本・童話
完
浜咲みちる/著

- 作品番号
- 1785319
- 最終更新
- 2026/06/27
- 総文字数
- 82,198
- ページ数
- 21ページ
- ステータス
- 完結
- PV数
- 0
- いいね数
- 0
この国で一番大きな祝祭日である春節がやってきた。休暇は十日間ほど続き、この間、多くの人たちは故郷へ帰ったり、家族とともに楽しい日々を過ごしたり、町に出て、いろいろな行事や催し物を楽しむ。ぼくが住んでいる翠湖公園のなかは、春節の期間は散策にやってくる人は例年それほど多くはないし、咲いている花の数も少なくて寂しく感じられる。冬の面影がまだ色濃く残っている公園のなかに、サーカス団がやってきて興行をおこなうことになり、サーカス小屋の設営が始まるとともに、公園のなかが、にわかに活気を帯びてきた。しかし翠湖公園にやってきたサーカス団は人々を満足させるものではなかった。サーカス団のなかに、いろいろな芸を演じて楽しませる動物や、離れ業を演じて、はらはらどきどきさせる人間はいなかったし、滑稽な仕草をして観客の笑いを取るピエロもステージに上がらなかったからだ。面白いショーを見せて観客の受けをねらうことよりも芸術性の高いショーを見せて観客の人格を陶冶することに重点を置いたサーカス団だったからだ。サーカス団のなかにピエロはいたが団長がステージの上に登場させなかった。ピエロの滑稽な仕草は品格に欠けて芸術性がないと団長が思っていたからだ。演目のほとんどが大人向けのかたすぎるものが多かったから子どもたちのなかには退屈して我慢できなくなり、途中で三々五々と連れ立って会場を後にする子どももいた。せっかく期待してお金を払って見に来た子どもたちを楽しませることなく自己満足のために押しつけ的な興行をしているサーカス団のように思えたから、ぼくは興行の演目に疑問を感じていた。ピエロもぼくと同じように思っていたらしく、途中で帰っていく子どもたちを見ながら申し訳なさそうな顔をしていた。ピエロはそれからまもなく団長や、ほかの団員たちと、たもとを分かって、公園のなかの別の場所で子どもだけに見せるサーカスショーを興行することにした。ぼくはピエロに協力することにして、ぼくの子どもたちにピエロの特訓を受けさせて芸の習得に努めさせた。親友の老いらくさんも老体にむちうって、ぴょんぴょん飛び跳ねて、子どもたちの芸の習得に力を貸してくれた。ぼくの犬友であるシャオパイやフェイナも優雅なダンスを踊って観客の目を楽しませていた。こうして翠湖公園のなかに子どもだけが楽しめるパラダイスが作られていった。
- あらすじ
- 自然のなかにパラダイスを作って子どもたちを楽しませるために、サーカス団のなかのピエロと、不思議な潜在能力を秘めた動物たちが力を合わせながら才能を発揮して、子どもたちに楽しいひとときを過ごさせる物語。
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