プロフィール

浜咲みちる
【会員番号】975120

作品一覧

子どもたちのパラダイス

総文字数/82,198

絵本・童話21ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
この国で一番大きな祝祭日である春節がやってきた。休暇は十日間ほど続き、この間、多くの人たちは故郷へ帰ったり、家族とともに楽しい日々を過ごしたり、町に出て、いろいろな行事や催し物を楽しむ。ぼくが住んでいる翠湖公園のなかは、春節の期間は散策にやってくる人は例年それほど多くはないし、咲いている花の数も少なくて寂しく感じられる。冬の面影がまだ色濃く残っている公園のなかに、サーカス団がやってきて興行をおこなうことになり、サーカス小屋の設営が始まるとともに、公園のなかが、にわかに活気を帯びてきた。しかし翠湖公園にやってきたサーカス団は人々を満足させるものではなかった。サーカス団のなかに、いろいろな芸を演じて楽しませる動物や、離れ業を演じて、はらはらどきどきさせる人間はいなかったし、滑稽な仕草をして観客の笑いを取るピエロもステージに上がらなかったからだ。面白いショーを見せて観客の受けをねらうことよりも芸術性の高いショーを見せて観客の人格を陶冶することに重点を置いたサーカス団だったからだ。サーカス団のなかにピエロはいたが団長がステージの上に登場させなかった。ピエロの滑稽な仕草は品格に欠けて芸術性がないと団長が思っていたからだ。演目のほとんどが大人向けのかたすぎるものが多かったから子どもたちのなかには退屈して我慢できなくなり、途中で三々五々と連れ立って会場を後にする子どももいた。せっかく期待してお金を払って見に来た子どもたちを楽しませることなく自己満足のために押しつけ的な興行をしているサーカス団のように思えたから、ぼくは興行の演目に疑問を感じていた。ピエロもぼくと同じように思っていたらしく、途中で帰っていく子どもたちを見ながら申し訳なさそうな顔をしていた。ピエロはそれからまもなく団長や、ほかの団員たちと、たもとを分かって、公園のなかの別の場所で子どもだけに見せるサーカスショーを興行することにした。ぼくはピエロに協力することにして、ぼくの子どもたちにピエロの特訓を受けさせて芸の習得に努めさせた。親友の老いらくさんも老体にむちうって、ぴょんぴょん飛び跳ねて、子どもたちの芸の習得に力を貸してくれた。ぼくの犬友であるシャオパイやフェイナも優雅なダンスを踊って観客の目を楽しませていた。こうして翠湖公園のなかに子どもだけが楽しめるパラダイスが作られていった。
いい飼い主を探す犬

総文字数/90,624

絵本・童話21ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
飼い主がいないプードル犬のシャオパイは、いい飼い主を探していた。人柄が優しくて、動物好きな人に飼われたいと思っていたので、シャオパイは冬の寒い日にもめげないで、毎日のように、町のあちこちに出かけていって、飼ってくれそうないい人を探していた。よさそうな人を見つけると、シャオパイは、こびながら、その人の家についていって、しばらくその家に住んで、どんなうちなのか観察していた。一見、よさそうに見える人でも、外からは見えにくい裏の顔があることを知り、がく然として色を失うことも、たびたびあった。首根っこを押さえられて殺されそうになったり、年を取った愛犬を無慈悲に処分する人がいることを知って、シャオパイはすっかり人間不信に陥っていた。 そんなある日、シャオパイは運命の人と出会った。翠湖公園の中にある梅園で、ロウバイの花のつぼみが膨らみかけている時に、開花を待ちわびるようにして毎日やってくる女の人がいた。その女の人の謎めいた雰囲気に、シャオパイは惹きつけられていた。シャオパイは、ある日、こっそりと、女の人のあとからついていった。女の人は郊外にある別荘の中に一人で住んでいることが分かった。別荘の周りは環境がとても静かだったので、シャオパイは、この別荘の中で彼女が飼ってくれることを、秘かに願っていた。 女の人は毎日、翠湖公園にやってきて、ロウバイの花のつぼみを見ていた。しかし、花が咲き始めたある日、公園に女の人の姿が見えなかった。心配したシャオパイが女の人の家に行ってみると、女の人が家の裏庭の中で倒れていて、意識がなかった。それを見て、シャオパイはびっくりして、すぐに人を呼びに行った。女の人は奇病を患っていて、体の中から、突然においが出てきて、そのあと発作が起きて倒れることが時々起きていた。シャオパイに運よく発見されて一命を取り留めることができた女の人を見て、シャオパイはこの女の人と前世から見えない糸で結ばれているのではないかと思うようになった。そしてこれから一生、この女の人のそばにいてサポートしていかなければという思いを強く抱くようになっていた。
怪しい町

総文字数/101,314

絵本・童話21ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
秋が深まってきたころ、翠湖公園の中をそれまで赤や黄色に美しく彩っていた落葉樹の木の葉はほとんど落ちてしまい、とても寂しくなった。町の中の街路樹も殺風景になり、地面の上に、じゅうたんのように散り敷いていた枯葉が、時折、冷たい風に吹かれながら宙に舞い上がり、しばらく宙を漂ってから、再び、ひらひらと地面に落ちていた。そんな寂寞としたこの町の一角にある桜木横丁で一夜のうちに異変が起きた。桜木横丁のシンボルである桜の木がいっせいに満開になったからだ。桜はたいてい春に咲く花だし、狂い咲きにしては不気味なほどの見事さだった。桜のなかには秋にも咲く品種もある。しかし桜木横丁の桜が秋に咲いたことはこれまでなかったので、あまりにも怪しすぎた。よく見ると、本物の桜ではなかった。誰かが造花の桜を銅線にくくりつけて、本物の桜に見せかけていた。にせものの桜に気がついた人のなかには冷たい目で見る人もいた。しかし多くの人は、今のわびしい時季に彩りを与えようとしているのだと思って容認したり、クリスマスツリーが見られるようになるまでのつなぎとして楽しんでいた。 花見客でにぎわう桜木横丁の中に、疑わしいことをしてお金儲けをたくらむペテン師が現れた。子どもの頭をよくしたいと思っている親心につけ込んで、まやかしの方法を考えて、子どもの頭に鍼(はり)を刺したり、頭がよくなるスープを作って飲ませたり、難しい本を読ませたり、受験指南書を買わせて私腹を肥やしていた。主人公の笑い猫は親友の老いらくさんと力を合わせて、ペテン師のまやかしを暴いてから、苦痛な目に遭っている子どもたちを救ったり、桜木横丁を、もとの平穏な町にするために、晩秋の日々、奮闘していた。
タイムスリップできる傘

総文字数/109,371

絵本・童話21ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
唐の時代からタイムスリップしてきた仙女のミー先生は不思議な傘を持っている。傘を開いて、傘の軸についているボタンを押すと、自分や、身近な人や、親しい動物の過去や将来の姿が傘紙のなかに見えてくる。声も聞こえてくる。傘はタイムスリップできるだけではない。鳥のように空を飛んだり、ダチョウのように道を走ったりすることもできる。この不思議な傘に心を惹かれた主人公の笑い猫は、いつかこの傘を使って、自分や身の回りにいる動物や、いつも優しくしてくれる人たちの過去や将来を見てみたいと、ずっと思っていた。そんなある日、笑い猫の望みが叶えられるときがついにやってきた。ミー先生に急用ができて、傘をうちに置いたまま、しばらく、うちへ帰ってこないことになったからだ。ミー先生が飼っている犬のシャオパイと笑い猫は友だちだから、笑い猫はシャオパイの許可を得て傘に触り、空飛ぶボタンを押して、傘に乗ってうちへ帰り、自分や妻猫や友だちの過去や将来の姿を興味深そうに見ていた。食べ物を持ってきて優しくしてくれる馬小跳や、杜真子や、馬小跳のクラスメイトたちの将来の姿も見ることができた。みんな、それぞれ個性を十分に生かして立派な人間になっていた。
カエル合唱団

総文字数/118,305

絵本・童話21ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
環境汚染のために田舎に住めなくなったトノサマガエルが町にやってきて、ハエやカを駆除して町の環境衛生に貢献する物語。カエルたちは昼間は町のあちこちに出かけていって懸命に働き、夜になると湖の中で一日の疲れを休めながら、きれいな声で合唱していた。カエルたちが活躍する様子や、美しい三部合唱はマスコミで取り上げられて、カエルたちは、たちまち、町の人気者になった。しかしカエルたちは、ひどい目に遭うことがたびたびあった。この国ではカエルを食べる習慣があるので、捕まえられて、レストランの厨房に運ばれて、調理されそうになったこともあった。環境汚染の影響を受けてたくさんの奇形ガエルが生まれていたので、そこに目をつけられて、見世物としてお金を取って商売をする者もいた。ハエやカを町から一掃することができたカエルたちは、ふるさとの田舎へ帰ることにした。しかしやはり、そこはとても住めるようなところではなかった。工場がたくさんできていて、その工場から出る有機水銀などの汚染物質が川に流れ込んで川を汚していたからだ。田んぼや畑でもカエルたちは必要とされなくなっていた。農薬を用いて害虫の駆除を行う農業が普及してきたからだ。行き場を失ったカエルたちは、ふるさとを離れて、さらに辺鄙なところへ向かい、ようやくまだ汚染されていない自然豊かな環境を見つけることができた。

公開リスト一覧

公開されているリストはありません。

レビュー一覧

レビューした作品はありません。

好きな作家

    登録されていません。
pagetop