歌が歌える猫

ランクイン履歴

絵本・童話3位(2024/11/13)

絵本・童話

歌が歌える猫
作品番号
1738580
最終更新
2024/11/11
総文字数
104,783
ページ数
21ページ
ステータス
完結
PV数
100
いいね数
0
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絵本・童話3位(2024/11/13)

黄色く色づいたイチョウの葉が、ひらひらと地に舞って、秋が深まってきたころ、子猫のアーヤーの心のなかに、ひそかな願いが生じた。
(言葉が話せない障害者のおじいさんを手伝って新聞を売ってあげよう)
アーヤーはそう思ったので、人の声真似ができる九官鳥を訪ねて行った。昼も夜も練習を重ねて、アーヤーはついに人の声真似ができるようになった。
「人民日報、ローカル新聞、ビジネス新聞」
新聞を売る猫を見て、町の人たちはびっくりして、町じゅうの話題となった。
その年も暮れてクリスマスイブの日。アーヤーは夜寝ているときに、不思議な夢を見た。夢のなかにサンタクロースが現れて、アーヤーを病院に連れて行った。病院のなかには、
植物人間となって、こんこんと眠っている人がいた。そのそばには七歳ぐらいの女の子がいて、植物人間に歌を歌ってあげていた。……
アーヤーが見た夢の内容は、このようなものだった。
夢からさめたアーヤーは自分も心に響く歌を歌って、意識を失っている人の意識を取り戻してあげたいと思うようになった。
九官鳥に歌い方を習って、血のにじむような練習を毎日おこなったアーヤーは、のどを痛めてしまった。それでもアーヤーはめげないで歌の練習に励んだ。それからまもなく、町の郊外にある病院のなかから、深夜になると、『鲁冰花(ルピナス)の花』という歌が聞こえてくるようになった。哀愁にみちた旋律は、たゆたうように病棟のなかを流れていった。まるで天使が歌っているかのように優しくてきれいな歌声だった。

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