恋愛(ピュア)
完
小林航夜/著

- 作品番号
- 1769713
- 最終更新
- 2025/12/20
- 総文字数
- 44,755
- ページ数
- 19ページ
- ステータス
- 完結
- PV数
- 109
- いいね数
- 0
『舞』という声が聞こえた気がした。
「え」と驚いたのは遥木さんの声だったから。
私は声の聞こえた方向へ振り向く。少し先に立っている人物は、間違いなく「あの時」の遥木さんだった。整った美しい黒髪。スマートな黒いストライプのスーツ姿。あの時の遥木さんが優しい眼差しを私に向けて立っていた。
「遥木さん?」
遥木さんは背を向けて路地へと歩き消えていく。
「居るはずがないのに。でも見間違えるはずがない」
答えが知りたくてその後ろ姿を駆け足で追った。すると景色が、蜃気楼のように妖しく揺らめき、その後に目の前に「幻想的な異国の城」が見えた。
そんなことはあるはずない。常識というものが否定しようとしたが、確かに目の前に城が見えている。気付くと、周囲の景色は東京ではなく夜の砂漠になっていた。私の足元、パンプスは砂漠の砂に少し埋もれていた。
「え」と驚いたのは遥木さんの声だったから。
私は声の聞こえた方向へ振り向く。少し先に立っている人物は、間違いなく「あの時」の遥木さんだった。整った美しい黒髪。スマートな黒いストライプのスーツ姿。あの時の遥木さんが優しい眼差しを私に向けて立っていた。
「遥木さん?」
遥木さんは背を向けて路地へと歩き消えていく。
「居るはずがないのに。でも見間違えるはずがない」
答えが知りたくてその後ろ姿を駆け足で追った。すると景色が、蜃気楼のように妖しく揺らめき、その後に目の前に「幻想的な異国の城」が見えた。
そんなことはあるはずない。常識というものが否定しようとしたが、確かに目の前に城が見えている。気付くと、周囲の景色は東京ではなく夜の砂漠になっていた。私の足元、パンプスは砂漠の砂に少し埋もれていた。
- あらすじ
- 会社員「五十嵐舞」は、かつての恋人であり故人の「中園遥木」の後ろ姿を追って、幻想の「月夜城」に迷い込む。遥木に会いたい一心で月夜城の中を進むと、白髪、蒼い目をした青年にそれ以上行くなと警告される。青年は「正宗」と名乗り、舞の味方だと言った。そこに亡くなったはずの遥木が現れ、舞の意識は月夜城の中に溶けていく。月夜城で見たのは、舞と遥木の記憶だった。交錯する想いが、幻想を交えて展開する。全19話。
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