櫻いいよさんのレビュー一覧

★★★★★
2011/02/09 11:15
何者にも何物にも替えられない

執事とお嬢様 その関係は、絶対。 超えることも、壊す事も赦されず、その関係を何よりも守る二人。 目の前に二人を取り巻く空気が感じられるような作品でした。 言葉遣いから仕草まで全てが「執事」と「お嬢様」であり、 そこに微妙に流れる電気のような二人の感情。 このままきっと二人は年を重ねてゆくのでしょう。 作中のように、それでも心穏やかにいれる間は過ぎ去っていつか、涙を流し唇を噛む日が来るのかも知れない。 だけど この二人の時間を、会話を、もっと覗いて見たいと思う作品でした。 願わくば、この時間が出来るだけ長く二人にながれますように。

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★★★★★
2010/11/28 15:12
気持ちを言葉に

いじめられないように、上手く付き合ってきたはずなのに、八方美人だ、ということを理由に急に友達から無視されるようになってしまった主人公。 学校も行きたくない。 クラブにも出たくない。 そんな思いで過ごす毎日の中出会った古本屋のおじいさん。そしてクラスですこし浮いている存在の綺麗な女の子。 自分の思う気持ちはなんだろう。 どうしてかなしいのか。どうして苦しいのか。 言葉にするには感情はとても複雑で、わからないから時に行動をまちがえてしまったり。 落ち着いて、ゆっくりでいいから。 言葉にしてまず、自分のことを自分で一番にわかってあげて、そしたらきっと、思いのままに行動できる。 そしたらきっと、相手の気持ちもわかるはず。 不器用で、だけど優しい女の子の勇気の作品。 是非ご一読を。

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★★★★★
2010/11/09 16:11
響く心の声

とあることをきっかけに、声を捧げた女の子、美音。 そして脚のケガで走ることを奪われた少年、祐樹。 広い広い空の下。 出会った意味はきっと 互いにとってなによりも辛い試練と、 そしてかけがえのない思いを得るため… 言葉に出来ないことは辛くて、思いを伝えられないのは苦しくて、分かってもらえないのは不安。 閉じ込めてしまえばいいのかもしれない。 そばにいれば何でもできるのだと思っていられれば良かったのかも知れない。 だけどそうじゃないから。 そんなときもあるから だから空に。 広く自由で、無限の空に。 縛り付けるのはきっと自分以外ではあり得ないのかもしれないなと感じました。 幼く、だけど必死に一生懸命に、そして誰よりも純粋な愛がここに。 是非ご一読を。

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★★★★★
2010/11/06 16:30
思いの分だけの嘘

目立たないように。 それなりに努力をして学校生活を、毎日を過ごす美月。 そんな美月が適当に借りた本から出て来た一枚の楽譜。 楽譜をきっかけに動き始める日常。 音楽の先生に雑用を押しつけられたり、クラスで人気の男の子と話をして、クラスで一人孤立している女の子もからまって… 嘘をつくのは、気持ちを言葉に出来ないから。悲しい気持ちの分だけ重ねる嘘の虚勢。 それを一枚ずつ暴いてくれて、それを一つずつ受け止めてくれた人。 だけどそれも 自分が嘘をついていたからなのかも知れない。 言葉にして、行動を起こして、間違って隠してぶつかって泣いて叫んで。 そうやって人は自分でも気付かない感情を自分の物にしていくのかもしれない。 変わって行く美月の日常と美月の気持ち。 美月の心の変化に、嬉しくて、切なくて。 涙の溢れる作品でした。

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★★★★★
2010/10/22 20:24
ハイテンションラブ

野球部のマネージャーの奈々。 口は悪いし、勢いだけだし、気が強いし面倒くさがり。 そんな彼女を、かばってくれたエース。 もしかして? なんで? 気になり始めたらとまらない気持ち。 がさつだけど思いだけは誰にも負けないし、真っ直ぐで決して曲がらない。 自分に正直に。 自分の思うまま。 そんな彼女にきっと元気をもらえる、そんな作品です。 ハイテンションに ノンストップに 突き進む彼女の恋を 是非、ご一読下さい。

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★★★★★
2010/10/22 13:09
移りゆく季節と想い

霊感が強いのに誰よりも恐がりなユイ。 そんなユイの目の前に突然現れたのは… ユーレイのヒロ どうして自分がこうなってしまったのか、記憶のないヒロはユイと共にいることを決める。 始めは怖がって嫌がっていたユイだけど… 人と人が関わるから人の気持ちはきっと変わって行く。 生まれたり 失われたり 辛いことも悲しいこともあるけれど。 友達、家族、恋人 大事な人は沢山いるから、どのおもいも全部、同じくらい大事にしたい。 変わることは悪い事じゃない。 変われないことが辛いときもある。 時間と共に流れてゆく季節と、そして思いが切なく風に乗って感じる様な作品でした。 是非、ご一読を。

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★★★★★
2010/10/07 14:05
シャーペンからの世界

シャーペンを忘れた君。 1本のシャーペンを貸した。 少し意地っ張り、だけどすぐ思っていることが顔に出てしまう主人公。 それでも口に出して伝えたい。 一つの思いで一喜一憂してしまったり、憎んだり、踏み出したり、時には逃げ出してしまったり。 だけどきっと帰ってくる場所はいつも一緒。 周りにはいつも自分を支えてくれる友人。 だからこそきっと迷っても迷っても、気持ちだけは揺らがなかったのかも知れない。 そして出会いから――全てをきっと、にんまり顔で見ていただろう一本のシャーペン。 シャーペンだけはもしかしたら…最初から全て、気付いていたのかも知れない。 可愛い。だけど必死な彼女たちの真っ直ぐな思いを、是非ご一読ください。

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★★★★★
2010/10/05 14:05
靴下と乙女心

彼氏の家 どきどきの展開 そこで気付く自分の失態 靴下に穴が…! 女の子ならばきっと誰もが気にするところ。 まだまだ「これから」のカップルにとって、大事件。 どうにかして隠し通さなくちゃ ばれないようにしなくては!! かわいい乙女心。 思わず共感してくすりと笑ってしまいます。 そしてそんな彼女にピッタリ!と感じる彼のかわいさもあって二人を包むほんわかとした空気がとてもよかったです。 ファンタジージャンルになっておりますが、恋愛もしくはコメディジャンルの様な気もするのですが… 女の子たちに。こんな失敗をしないように、是非読んでみてほしい作品でした。 だけどちょっと、こんな失敗も二人の思いを確かめ感じ合うのにいいのかもしれません。

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★★★★★
2010/10/05 10:12
何度も繰り返す「好き」

クラスの一匹狼の男の子。 だけど知ってるんです。ホントはホントは、優しい事。 だから何度でも何度でも、揺らぐこともなく恥ずかしがるなんてことも当然無く「好き」 うざそうな表情も きつい目も 何も気にならないくらいに 「大好き」 真っ直ぐすぎるほどの恋ゴコロ。 何があっても揺らぐことがない程の愛情。 だからこそ、そんなにも強い思いだからこそきっとみんな、影響されていくのかも知れない。 飾らないで 素直な言葉で 何度でも口にして。 個性豊かで魅力的な登場人物たちの繰り出す学生生活は、真っ直ぐで、キラキラと輝く。思わず読みながら笑みがこぼれてしまいました。 恋をしたい人もしている人も、是非読んで欲しい作品です。

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★★★★★
2010/10/02 17:51
固く閉められた錠を、いつか

突然訪れた両親の死 たった一人の家族でもある兄と離れ、 新たな家族との生活 新たな学校に 新たな友達。 親友の裏切りに心を閉ざし、愛想笑いで過ごしてきた主人公は、新しい環境での一歩を踏み出し始める。 裏切られ 心を閉ざし 諦めて力なく笑う その中で出会いいつしか心惹かれたのは、直感だったのかも知れない。 この人となら、本当の自分で この人とならどこまでも 逃げ出したいと願う それは正しいのか間違いなのか だけど逃げなければ見えない物もたくさんあるんだと。 先に感じる不安にドキドキしながら読み進めました。 錠は開けるも閉めるも自分自身。 閉ざした錠にも必ず鍵はある。 変わりたい。 その気持ちから全てが開けるんだと教えてくれるステキな作品でした。 是非、ご一読ください。

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★★★★★
2010/09/21 20:46
見えない目も、開いて

小さい頃のケガにより片目が極端に視力が悪くなり、光くらいしか感じない主人公 そんな主人公にケガを負わせた責任からか、つねに傍にいる男の子 ゆらゆらと流れに身を任して泳ぐ金魚のように、「人と違う自分」を感じながら過ごしてきた。 まるでそれは、水槽に入れられた孤独な金魚 片目しか見えない だから塞がないで だけど見えるはず 気付けなかったのは 目を閉じていたから 気付かないように 目を開かなかったから 独特な語り口調がとても魅力的で一気に読めてしまいました。 ひねくれて、自虐的。 だけどそれで守っていたものは…? 自分を守る術はなによりも、自分を傷つけているのかも知れない そんな風に感じました。 素敵な作品を是非、読んで見て下さい。

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★★★★★
2010/09/13 19:51
空に託した思い

あるものを持ち、王子という身分を偽って出かけたディオ。 そしてパイロットとして共に行動することになったダナ。 旅に隠された思いと真実。関わっていく人の過去。 本来なら関わることはなかった。だけど関わってしまったからこそ見えるもの。 知らなかったもの、知らなかった自分。 多くを失ってたくさん傷付いて。 一人だったら無理だったかもしれない。 傷付かなかったらわからなかったかもしれない。 だけど… 踏み出したその先に空はなくても、きっとずっとそこに空はあるんだ。 駆け抜けるように 必死で彷徨った二人を是非見届けてあげてください。

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★★★★★
2010/09/13 17:56
予測不能の学園生活

出会いは突然。 学園の王子様とちょっとした(不注意の)事故により関わることになってしまったアヤ にっこりと王子様のように笑うその裏は 強引で、我が儘で意地悪な俺様。 お馬鹿な主人公と、そんな俺様の秘密ライフ。 いつのまにか振り回されていつのまにか心の中に侵入してきて… 乱される心と、毎日が事件の学園生活。 ハイスピードに 時々お馬鹿に 笑いをふんだんにちりばめて、そして時々切なくて嬉しくて 何が起こるか分からないから毎日必死。 分からないからもっと一緒に。分からないからもっと話して。 もっともっと まだまだ、これから。 きっとずっと続く秘密ライフ。 その始まりを、笑顔と共に是非読んで見て下さい。

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★★★★★
2010/09/13 13:23
ネタバレ
最後に愛した男へ

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★★★★★
2010/09/13 01:52
どうしようもなく、愛しい

おデブのヤエちゃん。 そんな過去を持ち、そしてそれに深い傷を負った。 だから、見返してやる! 努力して乗り越えて、痩せて可愛くなった自分。 だけど再会した初恋の人は覚えてないうえに・・・変わり果てた?! エロくてバカで、どうしようもない男のコ。 個性豊かな周りの友人。 不器用に必死で 不器用にまっすぐで 思わずくすっと笑えてしまう彼らの日常。 不安もあるし、悩みだってたくさんあるけど、だけど過ごす毎日は輝いているんだなぁと感じる彼らの恋愛、友情。是非覗いてみてください。 もぅ、どうしようもないなぁ、と思いながらも愛しくなってしまいました。

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★★★★★
2010/09/04 19:12
短くても、永遠に

死のうと思った夏の日 その日、一人の男の子に出会った。 「今ここで死んだつもりで、少しの間だけ、お前の命、俺にくれない?」 そんな言葉から始まった。出会ったのはたまたま。 死ぬつもりだった もう終わらせるつもりだった。 だけど芽生えていく「希望」と「願い」そして「真実」 ゆったりと進む短い二人の無謀な旅。 じわじわと溢れる二人の気持ちに胸が熱くなり涙も溢れました。 二人の過ごしたこの夏の日。そこで見つけた忘れることのない宝物を、一緒に心に残してみませんか? それはきっと、読んだ人の心にも宝物になるかもしれない、そんな風に感じます。 たった一瞬でも、終わっても始まっても笑って踏み出して。 心は常に永遠に。 素敵な作品でした。

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★★★★★
2010/09/04 18:42
勇気を出して

夏の思い出は、夏祭り。 大好きな人に、友人が告白をしたあの日。 友人に素直になれずに逃げたあの日。 笑顔で友人を送り出したあの日。 何年経っても思い出すのはあの日の苦く辛く切ない夏の日。 そんな思いを抱いたまま年を重ねた主人公。 好きな人も出来たし付き合ってきたし、そしてプロポーズだって。 だけどどこか心の中に残るあの夏の日が歩みを妨げる。 見えない思いは自分を殻に閉じ込めて、言えない思いは自分を偽って。 「頑張って」 その一言に込められる言葉に勇気を出して。 柔らかく切ない夏の思い出と、そして今と未来。 読後に爽やかな夏の終わりを感じる作品でした。 是非ご一読を。

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★★★★★
2010/09/04 17:08
気持ちと形と

好きすぎる。 それは時に純粋で、だけど時に残酷で、そして儚くて、強い。 彼女のいる幼なじみと夜だけの関係を持つ主人公。 それでいい、それだけで良いと思っていた。 太陽が出ている間は他人のように、月の元でのみ恋人のように。 だけどどんどんど蝕んでいくように心に広がる「好き」の気持ちと「もっと」の気持ち。 手をさしのべる一人の男。 手を伸ばしたい一人の男。 差し出したいのに差し出せない男。 複雑に絡み合う関係と気持ちと状況に先がどうなるのか最後まで分からなかったです。 どれが正解で、どれが正しいのかは分かりませんが、この作品の結末に一つの愛を感じ、そして自分ならどうするだろうと、愛について考える事が出来ました。 深い愛。 このそれぞれの愛に、是非読んで自分の愛を重ね考えて見て欲しいと感じる作品でした。

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★★★★★
2010/08/07 18:45
降り注ぐ思い

小説家として歩み始めたあの頃 期待に胸を膨らませ 夢を抱いていたあの頃 そして今―—… 何をしたらいいのか わからないままもがき続け、そして味わう絶望の中、手を差し伸べてくれた人。 歩みだしたその先には、気づけなかった思いや気持ち それぞれの思い。 そして自分の強い思い。 ―—もう泣きません。 その強い主人公の気持ちと、その先にある未来。 主人公の思いが散って、積もって、そしてまた新たに咲き誇る桜の様に感じました。

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★★★★★
2010/08/04 22:01
溢れんばかりの想い

一部と二部で成り立つこの作品。 言葉は少なく 貢数ももちろん少ない けれどその中には抱えきれないほどの、言葉に出来ない程の愛が溢れていました。 こんなにも、純粋で こんなにも、儚く こんなにも、強い そんな想いが伝わってきました。 胸に暖かさが広がるこの作品を、是非 多くの方に読んでいただきたいと思います。 この作品を見つけたこと そして読めたことに 「ありがとう」を。

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