マリオネットは君と人間になる
青春・友情
完
0
樹 ありす/著
- 作品番号
- 1624099
- 最終更新
- 2022/02/27
- 総文字数
- 152,600
- ページ数
- 138ページ
- ステータス
- 完結
- PV数
- 3,208
- いいね数
- 0
「……なんか君、〝お人形さん〟みたいだね」
「僕がお人形さんにぴったりな、素敵な世界に連れて行ってあげる。
——だからさ、僕の舞台で踊ってみない?」
表情を失くした高校二年生 白樺水葉
×
脚本を綴る演劇部部長の高校三年生 日野川誠
きっと私達は皆、何かに縛られながら生きている。
苦しんで、逃げて、足掻いて、どうでもよくなって。
残酷な運命をただ受け入れるだけの、
〝人形〟のような人生を望んだこともあっただろう。
君はとある童話に出てくる魔法使いのように、
〝人形〟の私を〝人間〟に戻してくれた。
だから、今度は私が力になりたい。
君のことも、彼のことも、絶対に——。
これは演劇部を巡る、三人の物語。
「僕がお人形さんにぴったりな、素敵な世界に連れて行ってあげる。
——だからさ、僕の舞台で踊ってみない?」
表情を失くした高校二年生 白樺水葉
×
脚本を綴る演劇部部長の高校三年生 日野川誠
きっと私達は皆、何かに縛られながら生きている。
苦しんで、逃げて、足掻いて、どうでもよくなって。
残酷な運命をただ受け入れるだけの、
〝人形〟のような人生を望んだこともあっただろう。
君はとある童話に出てくる魔法使いのように、
〝人形〟の私を〝人間〟に戻してくれた。
だから、今度は私が力になりたい。
君のことも、彼のことも、絶対に——。
これは演劇部を巡る、三人の物語。
- あらすじ
- 「——だからさ、僕の舞台で踊ってみない?」
父親の虐待により表情を失くした高校二年生、白樺水葉。水葉は遺書という奇妙な縁から、演劇部部長の三年生、日野川誠と出会う。
日野川は水葉に次の劇の座長をしてほしいと頼み込むが、その演劇部では日々誰かによる嫌がらせを受けていて——。
自殺願望を持つ〝人形〟の水葉が辿り着く答えと、嫌がらせの犯人、日野川が抱える秘密、そして水葉を座長に推薦した理由とは……?
この作品の感想ノート
読了後、胸がじんわりとしました
自殺志願者の主人公、彼女に興味を持ちぐいぐいと土足で心の中に入り込もうとする先輩という切り口から一気にこの作品に惹き込まれました。
この物語を読んでいて特に最初に強く共感したのは、森くんの言う「誰かの作ったトラウマ」でした。それは人の人生を狂わせ得る、本当にそうだと感じました。
そして日野川先輩と水葉の真夜中の補習を経て合宿から帰宅し、お母さんが水葉のずっと欲しかった「愛してる」を伝えるシーン。何度読んでも自然と涙が流れてしまいました。大きすぎる水葉の抱えていたものが少しずつ解放された瞬間だったと思います。
三人が家を出る前、あの時のお父さんの真意は分からなくとも、たった一度の "愛していない" が呪いのように何度も降り掛かってくる感覚、私にはそれが他人のことだと思えませんでした。誰かのたった一言が良いことも、悪いことも、同じ言葉のはずなのにどうしてか悪い言葉ほど心に傷として残ってしまっていて。
「感情が分からない」と感じていた頃の日野川先輩は黒猫と、彼女との縁に強い光のようなものを感じ見出していたのだと思います。悲しい気持ちを体現できなくても、その時確かに心は動いていたし、惹かれていたのだと。
最後、日野川先輩の精一杯の返事に胸キュンでした。
素晴らしい作品をありがとうございました。
芥山幸子さん
2021/02/15 19:38
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