ようこそゲストさん
窓際の一番後ろの席から、小さな寝息が聞こえる。
隣の席で私の旦那様、ハルがカーテンに隠れて寝ているのだ。
「ハル、ハルってば」
「ん、んー」
ハルは精霊界の王子様だから、人間界にいると少し疲れやすい。
最近は体育祭の練習で午前中がハードだから、毎日こう。
いつもは満開のはずのツノも少し元気がない。
回復する方法はあるんだけど…
「ハルってば、起きて。授業中だよ」
「朋香ぁ…」
あ、まずい、寝ぼけてる!
これは昨日と同じパターンだ、悪い予感しかしないっ。
「朋香、愛してる…」
「あっ、ダメ…っ、んっ」
ハルが、とろんとした甘い表情で私の頭をぐいと抱き寄せた。
窓の外は雲ひとつない青空が広がり、目を閉じても眩しい。
カーテンの向こうで、先生が教科書を読み上げているのが聞こえる。
ハルの唇がとろけそうに熱い…
授業中は、ダメだよ…