菜の花の君へ
恋愛(ラブコメ)
完
0
雪涼/著
- 作品番号
- 818753
- 最終更新
- 2013/03/28
- 総文字数
- 85,006
- ページ数
- 116ページ
- ステータス
- 完結
- PV数
- 49,814
- いいね数
- 0
春の陽射しの中、おじいちゃんの菜の花畑で私は生まれて初めての屈辱を味わった。
「おい、早くじいちゃんの畑から出ていけよ!」
「いやっ。おじいちゃんが黄色のお花の近くで遊んでおいでっていったもん!」
「近くだったら畑から出たとこだって近いだろ~」
「やだやだ!お花のそばがいいんだもん。」
「出て行かないとぶん殴るぞ。なぐってやるーーー!」
「うわぁーーーん!かずくんなんてだいっきらいだぁーーー!」
それは私が5才のときの思い出。
このあと、両親が死んで、おじいちゃんにひきとられて、おじいちゃんも死んで・・・そして親戚の家を少しずつ移動して、やっと高校の寮生活までこぎつけたのだった。
坂下智香子、18才の春。
「これからどうしたらいいんだろう。
卒業したら就職しなきゃいけないよね。
高校へ通わせてもらえただけでも、感謝しなきゃバチがあたるわ。
ものすごく優秀でもない私が、人並みに楽しめる学園生活を送らせてもらったんだもの。
働かなきゃ・・・。もう高校生活を1年きってしまった。
前に歩き出さなきゃいけないのよね。」
春は嫌いだな・・・。いつも悲しくなっちゃうよ。
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