そういって、智香子の手をひいて避難所へと走った。
さっきまで震えが止まらなかった智香子の手は、しっかりした口調の青年のおかげで、一瞬にして震えが止まった。


避難所に着いてみると、予想を超えて、被害が大きく出ていたらしく清掃活動の参加者にけが人が多く出ていて、近所の民家も全半壊があったほど揺れはきつかったということがわかった。



「くそっ、こんなに被害が出ていたなんて。」



「私、どうしたら・・・どうすればいい?
私は大学がこの近くだから活動に参加しようとしたんだけど、家は離れてるの。」



「駅まで送るから、さっさと帰るといいよ。また揺れがきたらご家族も心配するだろうし。」




「いえ、そうじゃなくって、皆さんの力になりたいっていうか。
なんか、みんな大変そうなので、お手伝いとかしちゃダメなのかなぁって。」



「君の名前は?N大の学生なんだね。僕は、理学部の助手をやっている京田輝明。」



「大学の助手さん。私は文学部1年の坂下智香子ですけど・・・。」



「坂下さん、ちょっと肉体労働になるけど、ボランティアでついてきてくれますか?」



「はいっ!」