ありがとう。大嫌い。





それからしばらくベッドの上でぼんやりとした時間を過ごし、

体調が安定した頃に私は病室を出た。


今回は四宮せんせーの公認の外出だから、隠れる必要はない。


開放病棟から李仁の病室がある病棟に移動する。



しばらく歩いていると、少し遠くの方からギターの音が聞こえてきた。

それが李仁が奏でるものであると私は気づける。


だって、あの時のギターの音色と歌声が耳の奥に刻まれているから。



「りーひとっ」

「⋯⋯お前、本当懲りねぇのな」

「ひっどい。折角遊びに来てやったのにー」

「頼んでない」



そうは言いながらも、私を追い出そうとはしてこない。

少しだけ、過去のさっちゃんに感謝しなければ。


きっと、さっちゃんが無理矢理でも李仁の心を開いてくれたから。



「李仁、昨日はごめん」

「⋯⋯何が」

「私から遊ぼうって連れ出したのに、途中で倒れて迷惑かけちゃったから」




やっぱり、四宮せんせーの言いつけは守らなきゃ。

今までは傍に四宮せんせーやタケちゃんがいたから、外で倒れてもすぐに助けてもらえていたけど。


昨日は、入院し始めたばかりの李仁しかいなかった。


もしかしたら、もっと大事になっていたかもしれない。



だから、迷惑をかけてごめんなさい。

無理矢理外に連れ出してしまってごめんなさい。


そう言おうとしたら。



「俺、謝られるのは好きじゃない。と言うか、謝れば許されると思ってそうなところが嫌いだ」

「っ⋯⋯! な、何その言い方!? 許してほしいとか、そんなこと思って謝ったんじゃない!」

「じゃあ、そういう時は『ありがとう』って言うべきなんじゃねぇの」

「えっ⋯⋯」

「まあ、お前みたいな奴から感謝されたって嬉かねぇけど」