「りひとーっ! ほらほら、こっち!」
楽しい、楽しいねぇ。
誰かと一緒に遊ぶって、こんなに楽しいんだ。
「なあ、お前誰だ?」
「さっちゃん!」
「名前は」
「えーっと、えーっと⋯⋯分かんない!」
「は⋯⋯意味、分かんねぇ」
りひとがりひとであるように、さっちゃんはさっちゃんなの。
それでいいんだよ。
「ねー、ねー、りひと。なんでりひとはここでにゅーいんしてるの?」
「⋯⋯びょーき」
「何のビョーキ? 悪いもの?」
「白血病」
「はっけつ、びょう? ⋯⋯よく分かんない」
よく分からないけど、りひとがそんな悲しそうな顔をするなら、
きっと、悪いものなんだよね⋯。
「んーーーーー! くらいくらい!」
「はっ!?」
ガッチリとりひとの頬を包んで、わたしは顔を近づける。
「せっかく遊んでるんだから、笑って?」
さっちゃんは、りひとと遊べて楽しい。
だから、りひとも楽しんで、笑って、喜んでほしい。
「お前って、ノンデリじゃなくて能天気だったのか」
「のんでりって何!?」
「でけぇ声出すなっ!!! 意味は分からなくていい!」
周りの目があるだろうが――。
りひとはそう言ってわたしを叱ったけど、
わたしはそんなことどうだっていいんだよ。
人生、楽しんだ者勝ちなんだからっ!
「それじゃ、次はお花! お花見に行こう!」
「っ! だから、引っ張るなって!」
急がなきゃ、日が暮れちゃう。
こうやって遊べる時間はきちょうなの。
今の内に楽しんでおかないと、せんせーたちが来ちゃうから。
「りひとー。これなんていうお花?」
「連れてきたくせに知らねぇのかよ。⋯⋯朝顔」
「あさがお⋯⋯りひとみたいっ」
「えっ!?」
なんでそんなに驚いてるの?
青色のお花で、今はしぼんじゃってる。でも、咲いていればきっときれい!
なんでかは分からないけど、りひとみたいだなって思った。
それ以外の理由なんて無い。
「じゃあ、お前はこれ」
そう言って指を指したのは、
小さな小さな白詰草だった。
「わあああ! ちっちゃいっ!」
「あ、そこ喜ぶのか」
馬鹿にしたつもりだったんだけど、なんて言葉は聞こえない。



