「⋯⋯つか、俺らが兄弟とかはどうでもいいんだ。それよりも、どうして紗綾ちゃんがここにいるんだ」
まあ、そこは詰められますよねぇ。
とは言っても、めちゃくちゃ言いづらい。
昨晩、病院を抜け出して向かった歩道橋で貴方の弟さんと出会い、
私は弟さんのギターを聞いて「下手だね」って言ったことなんで。
「こいつ、俺のギターを下手だって言ったんだ」
「ひいいいやあああ!!」
言いやがった!
こいつ言いやがったよおおおお!!!!
「お前は俺譲りで楽器はめっきりだろう」
あれ?
今、自分の弟のこと馬鹿にした?
ついでに自分のことも馬鹿にしたように聞こえたのですが。
「別にお兄が下手だからって俺が下手なわけじゃない。練習すれば、俺だって弾けるんだよ」
「じゃあ、普段は練習していないってこと?」
きっと、これが李仁っていうこの少年の地雷を踏んでしまったらしい。
「てめっ、てめぇに何が分かるんだ!?」
まずいと思った頃には遅かったようで。
鬼の形相で掴み掛かってきた李仁を四宮せんせーが止めて、
私はその隙に自分の病室に逃げ込んだ。
知らなかったんだ。知らなかったんだよ。
李仁が総合病院に来てしまった理由なんて。



