ありがとう。大嫌い。




あんたみたいな生意気なガキと同じ病院に入院してるとか、

運命だって言うならごめんだ。




「だって、また会っちゃったじゃん」

「俺だって会いたくて会ったわけじゃない」

「それもムカつく!」

「理不尽すぎるだろ」



少年が呆れたように笑う。



その笑顔を見て、私はまた腹の底がふつふつと煮え滾るのを感じた。



「生意気ガキ」

「ああ? んだとコラ」

「なに、やんの? 私喧嘩じゃ誰にも負けないから」



顔の前で拳を握ってみせると、

その手を上から制する何かが現れた。



「さーやーちゃーん」

「あ、ああ、あわわ⋯⋯」



遠藤紗綾。

今回で二度目の命日がやってまいりました。


ガクガクと身体を震わせながら顔を上げれば、

そこには案の定“鬼”がいる。



四宮せんせーは、看護婦からも患者からも人気な反面、

鬼のように冷徹な男。だから、鬼。



「開放病棟にいないと思ったら、次は病棟すらも越えたのか」

「あ、あはは⋯⋯せんせー奇遇だね」



この場をなんとか誤魔化そうとすると、

バチンッと額をデコピンされる。



「あうっ」



今日だけで二回も額を小突かれてる。

十五歳だからって皆私のことを子供扱いし過ぎでは?


ヒリヒリと痛む額を押さていると、

四宮せんせーはベッドの脇に膝をついて、少年に優しく微笑みかけた。


え、なに。

私の時と態度違いすぎない?



「久しぶりだな、李仁(りひと)

「は⋯⋯⋯?」



待て待て待て。

なになに、どういうこと?


なんで四宮せんせーはこいつの名前知ってんの?

久しぶりって何。


そんな前から二人は知り合いなの?



ここ精神病患者がいる病棟じゃないですけど。

四宮せんせー、貴方カウンセリングが主な仕事ですよね。