未完成のワンフレーズ




病室の扉を乱暴に開けて、その先で私を見て困惑する奴に近づく。




「は? おまっ――」




バンッ!!!!!!




ベッドに備え付けられている机に手を叩きつけて、

わざと少年を怯えさせるのは私の性格の悪さが出ちゃった。




「私、あんたの歌――……好き」




「…………は?」




少年の目が点になる。




「ギターは下手だけど」

「おい」

「でも、歌は好き」



ギターが下手なのは、基礎を分かっていないから。


きっと、こいつは音楽が好きなんだ。



だって、さっきギターを抱えていた横顔が、

宝物を見るみたいに優しかったから。




「あんた、歌上手いんだね」




さっきまで驚いていた少年が、ほんの少しだけ目を逸らした。




「……ありがと」



なんだ。

ちゃんとお礼言えるんじゃん。



「でも、なんでここにいるの?」

「それはこっちの台詞だろ」

「私は患者だから」

「……俺も」

「え?」




少年は、自分の胸元に付いた名札を指で軽く叩いた。




「ここ、俺の病室」




なるほど。

つまり――。




「昨日の夜、病院を抜け出して会った奴が、同じ病院の患者だったってこと?」

「そういうこと」

「……最悪」

「なんで俺が?」



心底意味が分からないって顔。


私は心底嫌です。