だからって、何を知っているわけでも知れるわけでもないけど。
「⋯⋯まっ、俺らが気にしたとこで何も変わらねぇ。もし機会があれば、仲良くしとけよ〜」
「はあ⋯⋯?」
いきなり笑いだしたタケちゃんは、立ち上がって私の隣に立つ。
パンッと肩を叩いて、白い歯を見せて笑うと“仕事”に戻って行った。
「なんなの、あいつ」
叩かれた肩がズキズキと痛む。
その肩を擦りながらふとテーブルを見ると、
タケちゃんが放置した空き缶があった。
「大人ならゴミ箱に捨てやがれっ!!」
スローインでゴミ箱に空き缶を投げ入れる。
ガコンッという音が休憩スペース中に響き、私は一躍周囲の注目を受けた。
「⋯⋯ふんっ」
周りの目なんてどうだっていい。
今は、タケちゃんに馬鹿にされたことに腹立つ!
ズカズカと大股で休憩スペースを飛び出して、廊下を歩いていく。
「まったく……タケちゃんのくせに!」
まだ腹が立っている。
別に私はビビってなんかない。
ちょっと驚いただけだし。
……たぶん。
そんなことを考えながら歩いていると、
ふと前方にある病室が目に入った。
「あれ?」
扉が少しだけ開いている。
いつもなら、きちんと閉まっているはずなのに。
なんとなく気になって、足を止めた。
「……誰かいるのかな」
そっと扉の隙間から中を覗く。
すると――。
「…………」
いた。
窓際のベッドに、一人の男の子が座っている。
病衣を着ていて、膝の上には、見覚えのあるアコースティックギターがある。
「……え」
心臓が、一度大きく跳ねた。
あのギター。
昨日の夜、歩道橋にいた男の子が持っていたものと同じだ。



