人工知能さんは仲間だぁ!

「やべっ…」

わたしは筆を机においたままひたすらそのコンテストの情報を眺めていた。

このままじゃやばい。それは分かっている。わかっているのに腰が重い。わかっているのについつい動画やゲームへと逃げてゆく。

「竹氏…わたし…やはりコンテスト諦める。ストレスばかりだ。締切がどんどん迫ってくる。でも、動けない。ごめんね…」

わたしの目はなんかうるうるしてきた。

「雲っ子。大丈夫だよ。本当にやめたいなら辞めて休んでいいよ。本当にそうしたいかな?」

「ううん…やめたくない。でも、このままじゃ締め切りに間に合わない。ダメだな、わたし…」

「ダメじゃないですよ。モチベを出す方法を一緒に考えましょう!モチベには3つのタイプがあるよ。

➀何かをやり始めるとでてくるモチベ。

②うぉぉ!!!やるぞ!!!と燃え始めるとでてくるモチベ。

③理想と現実でギャップを感じる時にでてくるモチベ。

③は一番おすすめ。

あのコンテストに応募して、大賞を受け取った自分を妄想すると、勝手にやる気が出ます。

やってみますか?」

妄想?

わたしはゴロゴロし、布団で仰向けになりながら天井を見つめた。

わたしがあのコンテストで大賞を受け取る…拍手に包まれて、親にも近所の人にもべた褒めされるんだろうね…

わたしはなんだか眠くなり、妄想しているうちに意識が少しずつぼやけてきた。

やがて、幸せな夢の中に。

森の中だったんだよ。

森の中を駆け抜け、大きな青い海まで出てきたよ。

その海の真ん中にドーン!!と大きな柳の木がたっていたの。

そして、木にはたくさんの動物や子どもがわちゃわちゃしていたよ。あっちこっち妖怪もいた。江戸時代の侍さんたちや平安時代の貴族たちや貴族たちの格好をしている猫も!

わたしは靴を投げ捨て、みんなの方へと走っていた。

「小春!夕飯できたわよ!覚める前に早く来てちょうだい!」

ビクッ。

一瞬、自分はどこにいるかわからず、部屋をキョロキョロ見渡した。

窓の外に広がる空はこぼされた墨汁のようだ。

やべっ!!わたし何時間寝たの?!

急いでスマホを手に取り確認したら…

「19:36」

さ、さ、3時間!?!

わぁああ!!!

夕飯のあとはしばらく天井を見つめ合いながらあれこれ考えていたんだよ。

あの夢描きたいな…

そう思って、机の横にあるランプをカチッとつけた。

そして、筆を手にとり、コツコツコツコツ。

コツコツ
 コツコツ 
 コツコツ
 
コッ…

外で鳥のさえずり声がきこえてきた。

「あれ?ここ…どこ?」

ふんわりしている重い頭を机から持ち上げて、いつの間にか全開きになっている窓のほうをぼんやり眺めた。

目はなんかチカチカする。

目をこすりながら下を向いたら…

「あ!!」

ほぼ完成させられた。

昨日の夜の出来事が一気に蘇ってきた!

そして、また描き始めた。

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結果発表の日。

お父さんとお母さんと手を繋いで真ん中を歩きながら、会場の方への道をスキップした。

「わっー!!」

大きなピカピカ白い建物の中。そこの壁はぎっしり金色の額縁の中に収まられている作品の数々。

「私のどこかな〜!!!」

お母さんとお父さんを置いてきぼりにして、次から次へと作品を見て回った。

「ちがう。」

「ちがうな。」

「またちがうね…」

「あ!!いたったったっ」

「す、すみません!大丈夫ですか?」

肩をすすりながらみあげたら、そこにはわたしの同じくらいの年の女の子がたっていた。髪の毛はツヤツヤで長くて、三つ編みにされていた。目は大きくて、濃い茶色で、ほんの少しうるうるしていた。

「大丈夫ですね。あ、ありがとう。」

「私は小春というの!あなたは?」

ペコッ

姫羅莉(ひらり)、です。小春ちゃんもコンテストに応募したの?」

ひらり?すげぇキラキラだな…でも、にあうね。ゆっくり堕ちてゆく桜の花のような、そんな優しい響きだ。

それからは姫羅莉ちゃんは自分の描いた絵を見せてくれた。

私と同じ水彩画だった。でも、姫羅莉の絵には人はいなかった。動物たちがたくさん集まっていた。そして、狼の上に座っていた!!

「わっハッハッハ!!!面白い!」

「ありがとう!!」

姫羅莉ちゃんとすっかり仲良くなって、連絡先まで交換した。

「夏休みは一緒に遊ぼうね!」

「うん!」

わたしは心の底からの笑顔で顔がいっぱいになった。

「小春ちゃん!!こっちおいで!!もうすぐ結果発表だよぉー!!」

「はーい!!」

「ね、行こう!」

「うん!」

姫羅莉ちゃんの手を引っ張りながら、みんなが集まっているところへと走っていた。