脳内猫化しているわたし、地理勉強中あなたと旅して恋に落ちた

朝になると船へ戻る支度を始めた。残ってるスタンプはたったひとつで、それはフランスにあるはず。

お母さんと愛莉さんは「食いしん坊」なわたしのためにご飯をたくさん作り置きしてくれて、大きなリュックに入れてくれた。水も!

そして、服がいつでも着替えるように五着も入れてくれた!ゆうまくんのためのものも!

最後に、怪我が手当てできるよう、お父さんは絆創膏や消毒液を入れてくれた。

別れの朝ごはんは寂しかった。あまり誰も話さなかった。

やがて、出かけるときがやってきた。

「さよなら!!ありがとう!!」

「さよなら!!困ったらいつでも戻ってきてね!!」

お母さんは泣き出した。

そして、みんなに見送られながら、船への道を歩き始めた。何回も、何回も振り返りながらも。

野原に出てくるとそこには今まで世話してきた牛さんたちは

モーモー

とまるで別れの挨拶をしてくれていたみたい。わたしはうしさんたちを抱きしめた。

「いい子にしててね。愛莉さんのいうことをよ〜く聞いててね。」

ピーピーピー!!!!

いきなりどこかから笛の音がした!!

そして、次第にその音が大きくなり、やがて複数の男の人の叫び声が聞こえてきた。

遠くをみると…

「芽依ちゃん!!芽依ちゃんは警察に追いかけられている!!!」

ゆうまくんはとっさにわたしの腕を掴んで船の方へと走って行った。船の空の上の青く光る選択ボタンから素早くフランスを選択し、船が動き出した。

「こっち、こっち!!!!」

わたしはコートを脱いで大きく振ってみせた。

すると芽依ちゃんがこっちに気づいたみたいで全力で船へと走って行った。お巡りさんたちも、全力でこっちへと走ってくる。そして、船はだんだん海岸から離れてゆく。

「ジャンプして!」

そう言われて、芽依ちゃんはぴょん!!と船の方へと大きくジャンプした。

川の上の風に乗り始めた船はどんどん加速しだした。

とっさに船まで少し遠すぎで海に落っこちそう芽依ちゃんをゆうまくんが両手で見事にキャッチした。

バシャッバシャッバシャッ

お巡りさんたちは次々と川へ飛び込んだけど、船はもう遠すぎる。

芽依ちゃんはお巡りさんの方へと可愛らしく手を振った。

「バイバイ〜!!」

それから芽依ちゃんは船の床に座り込んだ。

「芽依ちゃん!大丈夫?!」

わたしはリュックの中からパンとミルクを取り出して芽依ちゃんへ渡した。芽依ちゃんは目を輝かせて、

「いただきます!!!」

とパクパクごくごく食べたり飲んだりした。

「芽依ちゃん、なんで警察官に追いかけられている?」

ゆうまくんの言う通り、確かに大きな質問だ。

「わたし迷子になったら突然警察官に囲まれた!」

え?!そんなことある!?!

「葉介さんは?」

「知らない。」

これは…どういうことかな…あ!!

「不法入国だ!」

「え?!」

「え?!なにそれ?!」

ゆうまくんと芽依ちゃんは口を揃えて驚いた。

「わたしたち、パスポート持っていないんで海外へ行ったから捕まる!!」

「あ!本当だ!」

ゆうまくんは冷や汗が出た。わたしも汗でベトベト。

わたしたちの船はフランスの海外についた。そうだけど、誰も出る気にならない。

「で、芽依ちゃん?」

「うん!」

「どうやってイギリスからノルウェーまで来たの?」

「荷物を運んでた汽車に隠れた!」

「それでもお巡りさんが追いかけてきた?」

「うん!ずっと追いかけてきた。」

これは大問題だ。次のスタンプを見つけるか警察官に捕まるかどっちが最初か。

「作戦を考えなきゃいけない!その間はずっとこの船の上にいるのがいいだろうね。」

そう言って海岸についてはボタンを押して海岸についてはボタンを押して、無限にそれを繰り返しながらも会議を開いた。

「どうすればいいと思う?」

「そりゃ、逃げ続けるならフランスのあっちこっちを探すしかない。」

「でも、どうやったら警察官に捕まえずに逃げ続けるの?」

「警察官は元を言えば私たちじゃなくて芽依ちゃんを追いかけているのでは?」

「でも、私たちも同様の不法入国。」

「なんで警察官は芽依ちゃんは不法入国なんてわかった?」

あ!!!閃いた!!そうだ!!まずは現地人に変装しなければ!!

「閃いた!変装するんだ!現地人みたいな見た目していれば誰も疑わないだろう!」

なかなかの名案だね〜

わたしはニコニコしてきた。

「どうやって?」

あ…そうだね…変装するにはメイクとか必要だね…

「じゃ、隠れば?」

「隠れたらスタンプ見つからないんだろう?」

「でも、まずは隠れて眠れる場所がなければ!」

「本当だ!」

こうして、わたしたちは隠れ家を作ることにした。

アルプス山脈はいちばん人の気配が少ない地域だから、そこに行くことにした。

船の空の上に青く光る選択ボタンの中からアルプス山脈を押した。

ポチッ

船はゆっくりアルプス山脈へと動き出した。

「隠れ家は何から作るの?」

「アルプス山脈の近くの森の中で木とかを切り倒して小さなテントを作るさ。」

ゆうまくんは頭がいいね。

アルプス山脈につくとまずは森を探すことにした。

「じゃ、もう倒れている木や隠れそうな場所があるか探そう!!」

森の中はちょっと暗くて涼しい。鹿や鳥もあっちこっち見かける。誰かが迷子になったら大変ので、家族みたいに手をつなぎながら森の中を探索した。

あるところには早く流れる小さな川があって、そこの水は美味しい。

また別のところに登りやすくて見晴らしのいい木がそびえていた。

わたしたちは小さな枝を集めながらだんだん森の奥へと進んでいた。

「あまり奥に行っても船へ逃げようとする時は大変だな…」

そう言ってまたみんなで船のある方へと戻っていたそのときだ。

芽依ちゃんはそろそろ退屈してきたかあっちこっち木を登ろうとしたり花をみたりしはじめた。

「いい隠れ家見つけた!」

芽依ちゃんのところへ行くと…本当だ!

そこは大きな岩がたくさん集まっているところだ。まるでとても小さな洞窟みたいだ。中に入るとそこの地面も少し掘られておりちょっと深い。

「ここを隠れ家にしようっか。」

「賛成!」

「芽依ちゃんよく見つけたね!」

わたしに褒められて芽依ちゃんは嬉しそうに笑った。

それから集めた木の枝でその小さい洞窟の中で焚き火を起こした。その焚き火を使ってパンをトーストにして食べた。あと、お母さんが作ってくれたスープもそこで温めた。

「いただきます!」

「いただきます!」

「いただきます。」

カリカリふっわふっわごくごく

3人揃えて夕飯を美味しくいただいた。

それからわたしの事や着替えなどを毛布にし、寝床を作った。

わたしとゆうまくんの真ん中に芽依ちゃんが眠った。本当にまるで家族みたいだな。そう考えると、この生活も悪くない。

わたしは焚き火の音と芽依ちゃんの小さないびきを聞きながら、そう考えた。