目が覚めた時はまだ朝日が空に見えるか見えないかくらいの早朝。
お腹は空いている。
「おはよう!」
「おはよう。」
ゆうまくんと一緒に海岸へ出て、川の水で顔を洗った。
「朝ごはんはどうすればいいの?」
「…この先進むしかないかな?3ユーロしか持っていないし、これからスタンプを貰うために使う必要があったら困るからな。」
え?!朝ごはんがないってこと!?!わたしは目がうるうるしてきた。それでも、みんなのために頑張らなきゃ!
わたしは涙をぎゅっと胸の奥へと押し込んで船の空の上に青く光る選択ボタンを見つめ直した。
フランス
ノルウェー
イタリア
アルプス山脈
「次はノルウェーへ行きましょう。フランスは美味しそうな食べ物がありすぎて我慢できなくなると思う。」
「そうね。」
ゆうまくんもお腹空いているのかため息交じりにそう答えた。
ポチッ
ボタンを押した瞬間選択肢がすべて空へと溶けた。そして、船が動き出した。
最初このたびは楽しかったけど、お腹が空いてくるともう帰りたい気持ちでいっぱい。
ノルウェーに上陸するとそこはイギリスとあまり変わらない気がした。夏なのに肌寒くて空は曇っている。
モーモー
そして、見渡す限りうしさんたち!
「そうだ!あのうしさんたちの乳を飲めば…」
「直接飲む気?!やめたほうがいいよ。細菌だらけだよ、そういうの。」
グー
やはりお腹は空っぽすぎてとても動けない。そのままうしさんのとなりで倒れて空を見上げた。
「どうした?」
ゆうまくんもとなりに座ってたら、同じく力が尽きたかわたしと一緒に仰向けになった。
リンリンリン
リンリンリン
見上げると少し遠くにはうしさんを集めて牛舎へ連れて行っている農家さんがいた。まあ、どうでもいいけど。
その農家の様子をなんとなくぼんやり眺めてたらあっちもこっちに気づいたかここへ走ってくる!
わたしはドキッとして急いで起きた。
あの農家さんは三つ編みに結んだ黒髪と茶色の瞳。正直、ノルウェーの人というよりも日本人に見えた。
「ハロー!」
それからはわけわからない外国語の連発。わたしはゆうまくんの顔を見つめた。ゆうまくんは首を横に振った。やはり、ゆうまくんもわからない。
キョトンとしているわたしたちを見て農家がハッとした。
「日本語わかりますか?」
わたしとゆうまくんは勢いよく頭を縦に振った。
「あ〜、ごめんね。ここで何してるのかな?大丈夫ですか?」
「スタンプラリーに参加していたら仲間とはぐれちゃってお金もほぼなくてお腹ペコペコでもう動けない!!!」
胸の奥に押し込んだ涙がだんだんポロポロと溢れだした。
「そっかそっか、私の住んでいるところに来たらパンと焼き魚とあそこら中の木から集めたベリーがあるよ!ぜひ来てて。」
そう言われたままあの農家のあとをついていった。
海岸沿いの小さな薄い青色の家だった。白い三角屋根には丸い窓が一つ空いていた。
中に入るとろうそくが燃えていてキッチンにはエプロンをつけている金髪の白人女性が何かを鍋でぐつぐつ煮ていた。
そこで最初出会った農家さんがあの女性に何かを言ってから茶碗とお皿を2枚出した。皿の上にはパンと魚、茶碗の中にスープをいれて丸いテーブルまで運んでくれた。
金髪の女性がニコニコ手を振ってくれた。わたしも勢いよく振り返った。
「さあ、温かいうちにどんどんたべてちょうだい。」
「いただきます!」
あーん!!ぱっくん!!
「パンはふっかふっか!!」
あの農家さんが笑った。
「お母さんの手作りなの。」
「お母さんの手作り?!すごい!!」
次は魚さんをぱっくん!臭みのあまりない、外がカリカリとしている魚だった。猫として大喜び!
それからスープ!外は大変寒かったのでありがたい!ごくんごくん。飲み干したらお腹の中から体がだんだん温かくなってくる。
最後にあのベリー。甘くて口のなかにとける…ぱっくん!ぱっくん!パックン!
「おかわり!!」
「まあ、元気ですね〜」
そう笑いながら農家さんがおかわりを持ってきてくれた。
パックン、パックン!ごくんごくん!もぐもぐもぐ。
「あ〜お腹いっぱい!生きてて幸せ〜」
「美味しかった?」
「うん!すごく美味しかった!」
「良かった。わたしの名前は佐藤愛莉。農家になるための大学に行っており、3ヶ月ここノルウェーで留学中。君たちは?」
「あ!だから日本人なんだ!」
わたしは納得した。なんか、かっこいいお姉さんだね、愛莉さんは。
「わたしは大島苺花!よろしくお願いします!」
「大内悠真。ご飯くれてありがとうございます。」
ゆうまくんの自己紹介は初めて出会ったころよりもなんか心を込めている気がした。
その瞬間、ドアが開いて、外から魚いっぱいのバケツを持っている大男が入ってきた。
愛莉さんが外国語で何かの挨拶をして、それからしばらくあの男の人と話していた。
「その人はお父さんですよ。北海での漁業から帰ってきた。」
愛莉ちゃんはニコッとした。
「見た目は怖いけど、優しい人ですよ。明後日はお母さんとフィヨルドが見えるクルーズ船デートに行くよ。」
「クルーズ船デート?!」
わたしはピンと閃いた!これはゆうまくんをおとすチャンスだ!
「ええ、夜の船の上でフィヨルドを眺めながらぶどう会を楽しみます。わたしもチケットを2枚持っていますけど、彼氏はいないからね。」
愛莉ちゃんは梅干しを頬張ったみたいな顔をした。
「そのチケットはわたしたちにくれないかな?」
愛莉ちゃんは考え込んだ。そして、お父さんに何か話してから、
「今日の朝の仕事手伝ってくれたらあげるよ。私の持っているドレスも着ていいよ。お父さんもゆうまさんが自分の子どものころのスーツを着てもいいよと言ってくれた。」
ゆうまくんはわたしの顔を覗き込んだ。
「クルーズ船デートに行ってる場合じゃないでしょう?」
あ、やべっ…えっと…そうだ!
「デートのためじゃないんだよ!フィヨルド見えるでしょう?きっとフィヨルドのためのスタンプもあるはず!戦略だよ、戦略!」
ゆうまくんは納得したみたい。
正直、わたしはフィヨルドとは何かまったくわからない。
「それじゃ、もう食べたし、牛舎へ行きましょうっか!」
愛莉さんと一緒に牛舎へ戻った。
「苺花さん?まずは、外にいるうしさんたちをここにつれてください。ゆうまさんはその間中の掃除をしててください。」
そう言って愛莉ちゃんはゆうまくんにほうきを渡した。ゆうまくんは不満そうな顔をした。
わたしは愛莉さんと一緒にうしさんたちを牛舎へと連れて行った。思ったよりもずーっと大変だった。うしさんたちはなかなか言うことを聞かない!
それでもやっとうしさんたちをみんな牛舎へ連れて行くことに成功した。
「ハイタッチ!」
パンっ!
「次はうしさんたちにエサをやるよ。」
そう言ってバケツいっぱいの麦を大きな箱にどんどんいれていく。う、うで疲れるぅぅ!
「次はうしさんたちの乳を絞るよ!この機会に繋げて…」
愛莉さんから指示を受けながら、1時間くらいひたすらうしさんの乳を絞った。
「最後にうしさんたちをふたたび外へっと!」
そう言ってまた数十分かけて頑固なうしさんたちを外へと追い出した。
「ありがとう助かった!家へ戻ろう!」
愛莉さんのあとを追いかけて牛舎を出ようとしたら…スタンプ台だ!!いつのまに?!
ぺたっ
キラキラキラキラキラキラ
スタンプ帳のページには川から水を飲んでいる牛さんが描かれてる赤色のスタンプ。そして、だんだん文字も浮かんでくるぅぅ!!
『酪農』
で、ナレーション!
「酪農とは、牛を買って乳製品を生産する農業のことだ。標高や緯度が高いところは寒くて土の中の栄養も少ないから麦や米が育てられない。そのため、野菜や穀物の代わりに寒さを好む牛を育つ。日本でいうと北海道も同じく寒くて土の中の栄養が少ない。だから、北海道にも酪農は盛んだ。」
「みんな待ってて!!」
「早く来いよ!」
ふたたび家につくと手を洗ったあと、愛莉さんの部屋へあがりました。愛莉さんの部屋は2階にあり、大きな丸い窓から北海や周りの山々の景色が見える。
「はい、どうぞ!」
愛莉さんはタンスの引き出しの中から2枚のチケットを取り出し、わたしとゆうまくんへ渡した。
「お仕事手伝ってくれてありがとう!」
その日はずーっと愛莉さんたちの家で過ごして体力をつけた。
夜になると私たちはお客さん専用の部屋に泊まった。そこには小さい机と2つのベッドとあと中ぐらいの木材から作られているクローゼットがあつま。クローゼットの中には愛莉さんが貸したワンピースとあとお父さんが小さかったころ着たズボンとシャツが入っていた。服はもう2日間くらい替えていなかった。
夕飯のあとゆっくりお風呂に入った。夜なのにいつになっても全く暗くならない。ノルウェーは不思議な国だね。
小鳥のさえずり声を聞きながらお風呂でぷかぷか浮かんでいた。いいな…
その時、外は突然騒がしくなった。
ピーピーピー
誰かが激しくふえを吹いている。
わたしは驚いて急いで新しい服に着替えたけど、リビングに出たらもうすでに静かになっていた。
「俺もお風呂に入ろうっか。」
ベッドは最高に気持ちよかった。そりゃね、昨日は船の上で毛布も枕もなく床で眠ったからね。
でも…ちょっと寂しい。
わたしは忍び足でゆっくりゆうまくんのベッドへ歩いて、そーっと毛布を巡って中に入った。
やはり、この方が暖かい。
すると、ゆうまくんが寝返りをうって、寝言をいいながらわたしを抱きしめた。
キュンっ!!!!
わたしは顔が真っ赤になった。これじゃとても眠れない!!やはりゆうまくんが起きる前に自分のベッドへ戻ったほうがいいのでは?!
そう考えながら、いつのまにかぐっすり眠り始めた。
お腹は空いている。
「おはよう!」
「おはよう。」
ゆうまくんと一緒に海岸へ出て、川の水で顔を洗った。
「朝ごはんはどうすればいいの?」
「…この先進むしかないかな?3ユーロしか持っていないし、これからスタンプを貰うために使う必要があったら困るからな。」
え?!朝ごはんがないってこと!?!わたしは目がうるうるしてきた。それでも、みんなのために頑張らなきゃ!
わたしは涙をぎゅっと胸の奥へと押し込んで船の空の上に青く光る選択ボタンを見つめ直した。
フランス
ノルウェー
イタリア
アルプス山脈
「次はノルウェーへ行きましょう。フランスは美味しそうな食べ物がありすぎて我慢できなくなると思う。」
「そうね。」
ゆうまくんもお腹空いているのかため息交じりにそう答えた。
ポチッ
ボタンを押した瞬間選択肢がすべて空へと溶けた。そして、船が動き出した。
最初このたびは楽しかったけど、お腹が空いてくるともう帰りたい気持ちでいっぱい。
ノルウェーに上陸するとそこはイギリスとあまり変わらない気がした。夏なのに肌寒くて空は曇っている。
モーモー
そして、見渡す限りうしさんたち!
「そうだ!あのうしさんたちの乳を飲めば…」
「直接飲む気?!やめたほうがいいよ。細菌だらけだよ、そういうの。」
グー
やはりお腹は空っぽすぎてとても動けない。そのままうしさんのとなりで倒れて空を見上げた。
「どうした?」
ゆうまくんもとなりに座ってたら、同じく力が尽きたかわたしと一緒に仰向けになった。
リンリンリン
リンリンリン
見上げると少し遠くにはうしさんを集めて牛舎へ連れて行っている農家さんがいた。まあ、どうでもいいけど。
その農家の様子をなんとなくぼんやり眺めてたらあっちもこっちに気づいたかここへ走ってくる!
わたしはドキッとして急いで起きた。
あの農家さんは三つ編みに結んだ黒髪と茶色の瞳。正直、ノルウェーの人というよりも日本人に見えた。
「ハロー!」
それからはわけわからない外国語の連発。わたしはゆうまくんの顔を見つめた。ゆうまくんは首を横に振った。やはり、ゆうまくんもわからない。
キョトンとしているわたしたちを見て農家がハッとした。
「日本語わかりますか?」
わたしとゆうまくんは勢いよく頭を縦に振った。
「あ〜、ごめんね。ここで何してるのかな?大丈夫ですか?」
「スタンプラリーに参加していたら仲間とはぐれちゃってお金もほぼなくてお腹ペコペコでもう動けない!!!」
胸の奥に押し込んだ涙がだんだんポロポロと溢れだした。
「そっかそっか、私の住んでいるところに来たらパンと焼き魚とあそこら中の木から集めたベリーがあるよ!ぜひ来てて。」
そう言われたままあの農家のあとをついていった。
海岸沿いの小さな薄い青色の家だった。白い三角屋根には丸い窓が一つ空いていた。
中に入るとろうそくが燃えていてキッチンにはエプロンをつけている金髪の白人女性が何かを鍋でぐつぐつ煮ていた。
そこで最初出会った農家さんがあの女性に何かを言ってから茶碗とお皿を2枚出した。皿の上にはパンと魚、茶碗の中にスープをいれて丸いテーブルまで運んでくれた。
金髪の女性がニコニコ手を振ってくれた。わたしも勢いよく振り返った。
「さあ、温かいうちにどんどんたべてちょうだい。」
「いただきます!」
あーん!!ぱっくん!!
「パンはふっかふっか!!」
あの農家さんが笑った。
「お母さんの手作りなの。」
「お母さんの手作り?!すごい!!」
次は魚さんをぱっくん!臭みのあまりない、外がカリカリとしている魚だった。猫として大喜び!
それからスープ!外は大変寒かったのでありがたい!ごくんごくん。飲み干したらお腹の中から体がだんだん温かくなってくる。
最後にあのベリー。甘くて口のなかにとける…ぱっくん!ぱっくん!パックン!
「おかわり!!」
「まあ、元気ですね〜」
そう笑いながら農家さんがおかわりを持ってきてくれた。
パックン、パックン!ごくんごくん!もぐもぐもぐ。
「あ〜お腹いっぱい!生きてて幸せ〜」
「美味しかった?」
「うん!すごく美味しかった!」
「良かった。わたしの名前は佐藤愛莉。農家になるための大学に行っており、3ヶ月ここノルウェーで留学中。君たちは?」
「あ!だから日本人なんだ!」
わたしは納得した。なんか、かっこいいお姉さんだね、愛莉さんは。
「わたしは大島苺花!よろしくお願いします!」
「大内悠真。ご飯くれてありがとうございます。」
ゆうまくんの自己紹介は初めて出会ったころよりもなんか心を込めている気がした。
その瞬間、ドアが開いて、外から魚いっぱいのバケツを持っている大男が入ってきた。
愛莉さんが外国語で何かの挨拶をして、それからしばらくあの男の人と話していた。
「その人はお父さんですよ。北海での漁業から帰ってきた。」
愛莉ちゃんはニコッとした。
「見た目は怖いけど、優しい人ですよ。明後日はお母さんとフィヨルドが見えるクルーズ船デートに行くよ。」
「クルーズ船デート?!」
わたしはピンと閃いた!これはゆうまくんをおとすチャンスだ!
「ええ、夜の船の上でフィヨルドを眺めながらぶどう会を楽しみます。わたしもチケットを2枚持っていますけど、彼氏はいないからね。」
愛莉ちゃんは梅干しを頬張ったみたいな顔をした。
「そのチケットはわたしたちにくれないかな?」
愛莉ちゃんは考え込んだ。そして、お父さんに何か話してから、
「今日の朝の仕事手伝ってくれたらあげるよ。私の持っているドレスも着ていいよ。お父さんもゆうまさんが自分の子どものころのスーツを着てもいいよと言ってくれた。」
ゆうまくんはわたしの顔を覗き込んだ。
「クルーズ船デートに行ってる場合じゃないでしょう?」
あ、やべっ…えっと…そうだ!
「デートのためじゃないんだよ!フィヨルド見えるでしょう?きっとフィヨルドのためのスタンプもあるはず!戦略だよ、戦略!」
ゆうまくんは納得したみたい。
正直、わたしはフィヨルドとは何かまったくわからない。
「それじゃ、もう食べたし、牛舎へ行きましょうっか!」
愛莉さんと一緒に牛舎へ戻った。
「苺花さん?まずは、外にいるうしさんたちをここにつれてください。ゆうまさんはその間中の掃除をしててください。」
そう言って愛莉ちゃんはゆうまくんにほうきを渡した。ゆうまくんは不満そうな顔をした。
わたしは愛莉さんと一緒にうしさんたちを牛舎へと連れて行った。思ったよりもずーっと大変だった。うしさんたちはなかなか言うことを聞かない!
それでもやっとうしさんたちをみんな牛舎へ連れて行くことに成功した。
「ハイタッチ!」
パンっ!
「次はうしさんたちにエサをやるよ。」
そう言ってバケツいっぱいの麦を大きな箱にどんどんいれていく。う、うで疲れるぅぅ!
「次はうしさんたちの乳を絞るよ!この機会に繋げて…」
愛莉さんから指示を受けながら、1時間くらいひたすらうしさんの乳を絞った。
「最後にうしさんたちをふたたび外へっと!」
そう言ってまた数十分かけて頑固なうしさんたちを外へと追い出した。
「ありがとう助かった!家へ戻ろう!」
愛莉さんのあとを追いかけて牛舎を出ようとしたら…スタンプ台だ!!いつのまに?!
ぺたっ
キラキラキラキラキラキラ
スタンプ帳のページには川から水を飲んでいる牛さんが描かれてる赤色のスタンプ。そして、だんだん文字も浮かんでくるぅぅ!!
『酪農』
で、ナレーション!
「酪農とは、牛を買って乳製品を生産する農業のことだ。標高や緯度が高いところは寒くて土の中の栄養も少ないから麦や米が育てられない。そのため、野菜や穀物の代わりに寒さを好む牛を育つ。日本でいうと北海道も同じく寒くて土の中の栄養が少ない。だから、北海道にも酪農は盛んだ。」
「みんな待ってて!!」
「早く来いよ!」
ふたたび家につくと手を洗ったあと、愛莉さんの部屋へあがりました。愛莉さんの部屋は2階にあり、大きな丸い窓から北海や周りの山々の景色が見える。
「はい、どうぞ!」
愛莉さんはタンスの引き出しの中から2枚のチケットを取り出し、わたしとゆうまくんへ渡した。
「お仕事手伝ってくれてありがとう!」
その日はずーっと愛莉さんたちの家で過ごして体力をつけた。
夜になると私たちはお客さん専用の部屋に泊まった。そこには小さい机と2つのベッドとあと中ぐらいの木材から作られているクローゼットがあつま。クローゼットの中には愛莉さんが貸したワンピースとあとお父さんが小さかったころ着たズボンとシャツが入っていた。服はもう2日間くらい替えていなかった。
夕飯のあとゆっくりお風呂に入った。夜なのにいつになっても全く暗くならない。ノルウェーは不思議な国だね。
小鳥のさえずり声を聞きながらお風呂でぷかぷか浮かんでいた。いいな…
その時、外は突然騒がしくなった。
ピーピーピー
誰かが激しくふえを吹いている。
わたしは驚いて急いで新しい服に着替えたけど、リビングに出たらもうすでに静かになっていた。
「俺もお風呂に入ろうっか。」
ベッドは最高に気持ちよかった。そりゃね、昨日は船の上で毛布も枕もなく床で眠ったからね。
でも…ちょっと寂しい。
わたしは忍び足でゆっくりゆうまくんのベッドへ歩いて、そーっと毛布を巡って中に入った。
やはり、この方が暖かい。
すると、ゆうまくんが寝返りをうって、寝言をいいながらわたしを抱きしめた。
キュンっ!!!!
わたしは顔が真っ赤になった。これじゃとても眠れない!!やはりゆうまくんが起きる前に自分のベッドへ戻ったほうがいいのでは?!
そう考えながら、いつのまにかぐっすり眠り始めた。

