脳内猫化しているわたし、地理勉強中あなたと旅して恋に落ちた

わたしは大島苺花(おおしまいちか)。不老不死の猫耳を目指してる中学一年生。しかし!そんな無敵で教養のある猫耳になりたいわたしだが…まあ、見せる方が早い。

一ーーーーーーーーーーーーー

「放課後遊園地に行かない?」

「ね、シール交換しよう!あたし昨日キラキラ猫シール買ってもらったよ!」

教室の中はざわついていた。窓近くの席に座ってるから、外の冷たい風が僅かに感じ取れる。校舎前の木たちはみんな金箔に覆われてるみたいでなんかワクワクする!

次の授業まであと10分あるんだし、誰かと遊ぼうっか!

わたしはカバンのなかから自分のシール帳を取り出した。表紙には大きいいちごショートケーキのイラストが書かれており、振ったりすると、シャカシャカ!!と表面の中にあるラメが動く。お母さんと一緒にショッピングセンターに行った時買ってもろったのよ!かわいいっしょ!えっへん!!

わたしはシール交換してる女の子たちのグループへと割り込んだ。

「ね、ね、ね!!!わたしもキラキラ猫シールほしい!!アレ超かわいい!!」

「あ、苺花ちゃん!いいよ!それじゃ…」

長い黒髪をポニーテールにまとめていた彩花(あやか)ちゃんがわたしのシール帳のぷくぷくカエルシールを指さした。

「これ欲しい!」

「いいよ!!!!」

わたしは田舎のカエルシールを集めてるから大量にあるんだもの。家の中にもそのシールと同じものが5個もある。そのくらい可愛いカエルってことだよ。それでも、心のお広いわたくしは友だちの彩花ちゃんなら上げます。優しいね。

キーンコーンカーンコーン
カーンコンキーンコン

ヤベ!!席につかなきゃ!!わたしは心の中でモルモットとなり、わたしができるだけいちばんモルモットっぽい仕草で席へと走った。モルモットっぽい仕草ってなにかというと…正直わたしもそこまでよく分からないけど…とにかく鼻をピクピクさせたり腕を胸にピタッと当てながら小走りした。

シュー

先生がドアを開けて教室へと入ってきた。

「はい、はい、みんな席について!あ、黒板は綺麗に消してあるね。」

「はい!!!!!わたしがやりました!!!!!」

先生は笑って、
「そっかそっか、ありがとうね、苺花ちゃん」と褒めてくれました!!

嬉しい!!!!!!!

「それでは、地理のテストをやっていきたいと思います。みんな、鉛筆と消しゴム以外片付けておいで」

地理…ぐっ。もう二学期なのに、全く理解できていない。正直、授業中は先生は何言ってるかほぼ分からないからノートにアニメキャラや動物やスイーツの絵ばかり書いてて黒板に書いてあるものを適当に写してるだけ。そもそも読み方さえ分からない漢字もいっぱい出てくる。

しかーし!!お母さんとショピングモール行った時は可愛いピンク色の消しゴムもかってもろったからやっと使えるのは嬉しい!!もちろん、ペンケースもお気に入りのものなの!やわらかくてもふもふしていてペンギンみたいな見た目しているよ。

わたしはテスト用紙をめぐってみたら…やべっ。第1問は…分からない
第2問は…分からない
第3問は…分からない
地図を答えるやつは…あ!!ヨーロッパの真ん中のあの山脈ってアルプス山脈じゃなかったっけ?よし!!この調子!!
って…これからは何もわからない!!!オワッタ。

あ!!名前書き忘れた!大島苺花(おおしまいちか)っと。

で…みんなはまだ書いている!!どうしよう!!!

あ〜…じゃ…先生のために「採点おつかれさま!」それとスイーツとコーヒーのイラストを書こうっか!

わたしがお絵かきに全力集中していたらあっという間にみんなも終わって先生がテスト用紙を集めてきた。我ながら今回は…流石によくできていない。前回のアジア州の地理のテストも5点だったし…

このままずーっと地理できないままかな…

わたしの将来の夢は不老不死の猫耳だから地理どころか学校に行く必要も特にないかもね。しかし!わたしは教養のある猫耳になりたい!!したがって、地理もできるようになりたい!!わたしは計画を立てて、地理博士になるよう勉強する!!よし、今日家に帰ったら実行するぞ!

次の授業は体育だった。わたしは体育が大好き!なぜかというと…主に2つの理由がある。その一つは、体を動かしたり、跳び箱や鉄棒がうまくできたりするとなんとも言えない爽快感を味わえるから。もう一つの理由は、体を鍛えると疲れにくくなり、長生きするから。わたしは不老不死になりたければ、医学がそこまで進歩するまでは自力で長生きしねばならぬ!今の時代は人工知能なども発達していて、きっと近い未来で人工知能が人工知能をより良くしたり、医学などの研究までしたりするようになるだろう。そうなったら、今よりもずーっと早く進歩するに違いない!!

人工知能さんたちはわたしは応援してる!!

そう考えながら教室で着替えてみんなと一緒にグラウンドに出て、体育館へと急いだ。外は鳥肌が立っててブルブル震えちゃうほど寒いからみんなはできるだけ早く体育館へと走っていた。しかし…わたしは足を止まった。クンクン。今日の給食の香りがどこかから漂ってくる。今日は揚げパンと…かぼちゃの煮物…たぬき汁の匂いもする。美味しそう!!わたしはかぼちゃの煮物が大好き!いつも八個くらい食べてはお母さんに止められてしまうけどね。

わたしはルンルンしながら体育館へとスキップした。

給食はやはり美味しかった。2回おかわりしたせいか午後の授業は眠くて眠くてウトウトしていた。しかし、不思議と帰りの会が終わったとたん眠気が一気に消えた。

わたしは家に帰ったらゲーム遊ぶんだ!!!ワイ!ワイ!あ〜おやつはなにかな?!お母さんは今日はティラミス作ってくれると言ったよおぉ!!

「ただいま!!!」

「おかえり!学校楽しかった?」
お母さんはニコニコしながらティラミスをおさらに盛ってあげた。

「うん!!体育でね、わたしはね、跳び箱8段も飛べた!あと、キラキラ猫シールももろった!あと!あと!!」

わたしはお母さんが大好き。お父さんも大好き。先生も学校の友だちもみんな大好き。校長先生も大好き!

って、あれ…何かを忘れてるような…

あ!地理博士計画!!でも、せっかくのティラミスを楽しまなきゃ!わたしはダイニングの椅子に座って、銀のスプーンでティラミスを一口くちへと運んだ。口にふくんだ瞬間…コーヒーのほんのりの苦さと生クリームの濃厚ふわふわ甘さが一気に鼻へと抜けた。そして、中のクッキーのカリカリも!カリカリカリカリカリカリ。

「ごちそうさまでした!」

わたしは自分の部屋へと急いだ。中に入ったとたんカチッと鍵を閉めて、カバンのなかから地理の教科書とあのふわふわペンギンペンケースを取り出した。よし!!やるぞ!!

じゃ…どんな計画がいいのかな?わたしは考え込んだ。今まで学校でやった地理の内容は…うん…大陸の違いとか世界各地の気候帯と生活の違いとか…色々あるね!じゃ、教科書を最初から読み直して、毎日5ページやったらいいかな!教科書のあのまとめのページとかも!

あ!そういえば、お父さんからあの中学地理がわかる学習漫画も買ってもらった!その方が実際にイラストが見られるからよりイメージしやすいじゃない?わたしは地理の教科書を机に広げたままにして学習漫画を手に取った。

なんなら、動画授業を見た方が良いんじゃないかな?わたしは学習漫画を床に散らかしたまま、布団で横になってゴロゴロしながらスマホで勉強動画を検索した。

しかし…いいのなかなかないな。動画の最初の2分くらいを見てはまた次の動画へと。

「いちかー!!夕飯の時間だよー!!」

え?!画面の右上をパッと見たら…もう6時?!待って?!宿題にまだ手を付けていないけど?!ヤベっ。

結局、地理博士計画がまったく進まないまま今日も終わった。いつもこんな感じだ。わたしは一生懸命頑張ってるのに…なぜかいつもうまくいかないの。5月くらいからはずーっとこの感じで地理勉強しようとしてるけど…教材探しのまま終わったり、せっかく始めた教材でも続けられなかったり…

わたしは勉強できない子かもしれない。このままずーっと失敗し続けるのかな。教養のある猫耳になれないのかな…わたしはアホだ。

わたしの目が勝手にうるうるしだした。そのまま、薄暗い部屋で天井を見上げて鈴虫のこえを聞きながら、深い眠りへとおちていた。