何がどういうわけか、その少女は額をぴったりと床につけて土下座の姿勢を取り始める。
「ちょ、ちょちょちょ! 汚いよ、顔上げて」
「あたしは床に転がり、その身体で掃除をする方がふさわしいんですぅ! 人にぶつかる命知らずなあたしは、煤や埃に汚れてしまえばいいのですよぉぉぉぉ!」
ああああああ!!!!
と、大声を上げて目から噴水の如く大量の涙を溢れさせた。
(な、何だこの子……めちゃくちゃ自分のこと馬鹿にするじゃん)
一先ず、前を見ていなかった自分にも非があるのだから、少女の手を取りその場に立ち上がらせた。
立ち上がって分かる。少女の背丈は、凪冴の腰ほどもない。
扉を開けるなり突進されれば、視界に入らないのは必然であった。
「こっちこそ、ちゃんと前を見ていなかった。ごめんね、怪我はない?」
「あああ、恐れ多い! あたしの怪我なんて気にしないでくださいぃ! 人生の貴重なお時間が無駄になりますぅ!!」
「じ、人生って……んな、大袈裟な」
呆気に取られるくらい、自己肯定感どん底の少女である。
目線が合うように屈んだ凪冴は、メイド服のスカートに付いた埃を手で払った。
「あ、ああ、ああああ。手が、手が汚れてしまうぅ」
「気にしないで。後で洗えばいいだけだし。そう言う君の手の方が汚れているんだから、早く洗いに行ったら?」
手袋を着けている凪冴と違い、少女は素手。その小さな手を糠に直接着けていたのだから、所々埃で汚れている。
そんな手でお給仕などできるはずもない。
ここから一番近い手洗い場が何処なのか凪冴には分からないが、泣き腫らした目をした少女を一人にするのは気が引けた。
「一緒に手を洗いに行こうよ。僕、ここに来たばかりで何処に手洗い場があるのか分からないんだ。良かったら、案内してくれないかな」
「も、もしかして……マアサさんが言っていた新人さんですか?」
「あー、うん、そうだよ。凪冴っていうんだ」
同じ屋敷で働くことになったのだから、存在が知れ渡っているのは何らおかしいことではない。
それでも曖昧な返事をしてしまったのは、自分がどういう風に説明されたのか分からなくて心配に思ったからである。
「る、ルナですっ。見習いメイドをさせていただいてます!」
「僕達、見習い同士だね。これからよろしく」
右手の手袋を外して差し出すと、戸惑いつつもルナは小さな手で握った。
「ちょ、ちょちょちょ! 汚いよ、顔上げて」
「あたしは床に転がり、その身体で掃除をする方がふさわしいんですぅ! 人にぶつかる命知らずなあたしは、煤や埃に汚れてしまえばいいのですよぉぉぉぉ!」
ああああああ!!!!
と、大声を上げて目から噴水の如く大量の涙を溢れさせた。
(な、何だこの子……めちゃくちゃ自分のこと馬鹿にするじゃん)
一先ず、前を見ていなかった自分にも非があるのだから、少女の手を取りその場に立ち上がらせた。
立ち上がって分かる。少女の背丈は、凪冴の腰ほどもない。
扉を開けるなり突進されれば、視界に入らないのは必然であった。
「こっちこそ、ちゃんと前を見ていなかった。ごめんね、怪我はない?」
「あああ、恐れ多い! あたしの怪我なんて気にしないでくださいぃ! 人生の貴重なお時間が無駄になりますぅ!!」
「じ、人生って……んな、大袈裟な」
呆気に取られるくらい、自己肯定感どん底の少女である。
目線が合うように屈んだ凪冴は、メイド服のスカートに付いた埃を手で払った。
「あ、ああ、ああああ。手が、手が汚れてしまうぅ」
「気にしないで。後で洗えばいいだけだし。そう言う君の手の方が汚れているんだから、早く洗いに行ったら?」
手袋を着けている凪冴と違い、少女は素手。その小さな手を糠に直接着けていたのだから、所々埃で汚れている。
そんな手でお給仕などできるはずもない。
ここから一番近い手洗い場が何処なのか凪冴には分からないが、泣き腫らした目をした少女を一人にするのは気が引けた。
「一緒に手を洗いに行こうよ。僕、ここに来たばかりで何処に手洗い場があるのか分からないんだ。良かったら、案内してくれないかな」
「も、もしかして……マアサさんが言っていた新人さんですか?」
「あー、うん、そうだよ。凪冴っていうんだ」
同じ屋敷で働くことになったのだから、存在が知れ渡っているのは何らおかしいことではない。
それでも曖昧な返事をしてしまったのは、自分がどういう風に説明されたのか分からなくて心配に思ったからである。
「る、ルナですっ。見習いメイドをさせていただいてます!」
「僕達、見習い同士だね。これからよろしく」
右手の手袋を外して差し出すと、戸惑いつつもルナは小さな手で握った。



