三人の騒動から一夜明けて、雪にとって初めての“罰”の朝がやってきた。
明け方、雪は屯所の中で誰よりも早く目覚めた。土方の言いつけが恐ろしく寝ていられなかったのである。
昨日小夜に教わったことを思い出しながら袴を着ると、箒を握って庭に向かった。
案の定というか、予想通り庭にはまだ沖田と藤堂の姿は見えない。
一足先に雪は庭掃除を始めることにした。小姓である以上、壬生浪士組の中の立場は雑用係なのだ。
「ふぁーあ………あれ、雪もう来てんじゃん」
「おはよう、平助くん。そう言う平助くんも早起きだね」
「まあ、浪士組に入ってから早起きは当たり前だからなー。つか、総司の奴まだ来てねぇのかよ」
何度も欠伸をしながらぽやぽやした様子の藤堂を見ていると、どうも身体から無駄な力が抜けていく。
掃除をするだけだというのに知らぬ間に緊張していたらしい。
小さく笑いを落とすと、そんなこと何も知らない藤堂は小首を傾げた。その様子がまたおかしく思えて雪は笑う。
「おーい、お二人さん」
「あっ! 総司くん、おはよう」
「おはよう。随分と早いね、俺が一番だと思ってたんだけどな」
「残念だったな。お前が最後」
沖田が合流したことで三人の反省会が始まる。
昨日の説教に対して文句を言いながら竹箒を動かす藤堂。その隣で沖田は目を擦りながら落ち葉を集めている。
そんな二人を眺めつつ、雪も慣れない手つきながら必死に掃き進めていた。
「雪、そこはこうやって――ほら、力抜いて。引くんじゃなくて押すようにさ」
「う、うん……こう?」
「お、上手いじゃん。昨日の土方さんにも見せてやりたいねぇー」
「や、やめてよ……!」
藤堂の軽口に雪が赤面し、沖田は相変わらず飄々と微笑んでいる。昨日の失言によってここまで揶揄われるとは、この先長らく擦られそうである。
ひたすら落ち葉を集めては運び、また集めては運ぶ。
庭掃除は思った以上に重労働で、三人の額にはじんわりと汗が滲んできた。
「なあ総司。庭掃除って、こんなに疲れるもんだっけ?」
「そりゃ疲れるよ。僕ら普段は刀振り回してるし、こういうのは慣れてないもん」
「雪、大丈夫か?」
「だ、大丈夫……っ。小姓なんだし、これくらい……できるよ……!」
息を切らしながらも懸命に掃く雪の姿に、二人は思わず目を細める。
そうして手を止めている二人にすら気づかないほど、雪は目の前の落ち葉を集めることに必死だった。
「……ほんと、頑張るね雪は」
「だって……昨日、土方さんに迷惑かけちゃったし……」
「わぁ、真面目ー。ねえ平助、こういう子が一番土方さんのお気に入りになりそうじゃない?」
「うっわ、それ言ったらまた怒られるだろ……!」
三人の遣り取りに、早起きしていた隊士達が縁側から笑い声をあげる。
その声に気が付いた沖田が手で散るように促す。隊士達はそれすらも面白がるように縁側から離れていった。
明け方、雪は屯所の中で誰よりも早く目覚めた。土方の言いつけが恐ろしく寝ていられなかったのである。
昨日小夜に教わったことを思い出しながら袴を着ると、箒を握って庭に向かった。
案の定というか、予想通り庭にはまだ沖田と藤堂の姿は見えない。
一足先に雪は庭掃除を始めることにした。小姓である以上、壬生浪士組の中の立場は雑用係なのだ。
「ふぁーあ………あれ、雪もう来てんじゃん」
「おはよう、平助くん。そう言う平助くんも早起きだね」
「まあ、浪士組に入ってから早起きは当たり前だからなー。つか、総司の奴まだ来てねぇのかよ」
何度も欠伸をしながらぽやぽやした様子の藤堂を見ていると、どうも身体から無駄な力が抜けていく。
掃除をするだけだというのに知らぬ間に緊張していたらしい。
小さく笑いを落とすと、そんなこと何も知らない藤堂は小首を傾げた。その様子がまたおかしく思えて雪は笑う。
「おーい、お二人さん」
「あっ! 総司くん、おはよう」
「おはよう。随分と早いね、俺が一番だと思ってたんだけどな」
「残念だったな。お前が最後」
沖田が合流したことで三人の反省会が始まる。
昨日の説教に対して文句を言いながら竹箒を動かす藤堂。その隣で沖田は目を擦りながら落ち葉を集めている。
そんな二人を眺めつつ、雪も慣れない手つきながら必死に掃き進めていた。
「雪、そこはこうやって――ほら、力抜いて。引くんじゃなくて押すようにさ」
「う、うん……こう?」
「お、上手いじゃん。昨日の土方さんにも見せてやりたいねぇー」
「や、やめてよ……!」
藤堂の軽口に雪が赤面し、沖田は相変わらず飄々と微笑んでいる。昨日の失言によってここまで揶揄われるとは、この先長らく擦られそうである。
ひたすら落ち葉を集めては運び、また集めては運ぶ。
庭掃除は思った以上に重労働で、三人の額にはじんわりと汗が滲んできた。
「なあ総司。庭掃除って、こんなに疲れるもんだっけ?」
「そりゃ疲れるよ。僕ら普段は刀振り回してるし、こういうのは慣れてないもん」
「雪、大丈夫か?」
「だ、大丈夫……っ。小姓なんだし、これくらい……できるよ……!」
息を切らしながらも懸命に掃く雪の姿に、二人は思わず目を細める。
そうして手を止めている二人にすら気づかないほど、雪は目の前の落ち葉を集めることに必死だった。
「……ほんと、頑張るね雪は」
「だって……昨日、土方さんに迷惑かけちゃったし……」
「わぁ、真面目ー。ねえ平助、こういう子が一番土方さんのお気に入りになりそうじゃない?」
「うっわ、それ言ったらまた怒られるだろ……!」
三人の遣り取りに、早起きしていた隊士達が縁側から笑い声をあげる。
その声に気が付いた沖田が手で散るように促す。隊士達はそれすらも面白がるように縁側から離れていった。



