青年の発言に何も答えられず視線を落としていると、すっと微笑みを消した青年が懐から手拭いを取り出した。
首元の傷口に手拭いを当てた青年は、着ている服の襟まで流れていた血を優しく拭き取っていく。
「あ、あの」
「じっとして。全く、土方さんって人は、女の子が怪我してるのにここまで放っておくなんてさ。痛くない?」
「だ、大丈夫、です……」
青年の顔が間近にまで迫り、思わずゴクリと喉を鳴らす。
その音が聞こえていたのか聞こえていなかったのか、青年は薄く頬笑みを浮かべて血を拭う手を動かした。
やがて一通り血を拭うと、彼は血に汚れた手拭いを握り締めて一歩下がった。
「流石にそのままじゃ悪化しかねないし、広間に行く前に手当をしておこうか。付いて来て」
「は、はい」
あの鬼とは違い、この青年の話し方は柔らかく優しさを帯びている。
ずっと感じていた緊張が少し解れ、返事の声は微かに弾んでいた。青年の背中を追う足取りが軽くなったのも言わずもがなである。
この場所が何なのか、彼らが一体誰なのか、どうしてここにつれてこられたのか疑問はいくらでもあるが、一先ずこの青年の親切心は信じても良さそうだ。
屋敷の中に入り青年に付いて行くと、ある一室へと連れられる。先に中に入った青年は、押し入れの中から木箱を取り出し適当な位置に腰を下ろす。
「ほら、こっちに来てくれないと手当できないよ」
「あっはい。すみません」
こちらへと手招きをする青年に促されるままに部屋の中へと入り、彼の前に正座をする。
青年は何やら強い匂いを発する透明の液体を綿に含ませると首筋へと当てた。
丁寧な手つきで傷口を消毒した後、首元には包帯が巻かれる。手当が終わり満足そうに微笑んだ青年は木箱を押入れの中へと仕舞い、部屋を出て再び付いて来るよう言葉ではなくて招きで示した。
首元に巻かれた包帯に触れながら立ち上がり、青年の後を追って部屋を出る。
それから青年に連れて行かれたのは、屋敷の中でも人目につきにくい奥座敷であった。
「近藤さん、連れてきました」
「おお、総司か。入りなさい」
先程まで見せていた物腰柔らかい雰囲気はなくなり、厳格な雰囲気が青年から醸し出される。
やっと緊張から解放されたと思っていたが再び身体が酷く強張った。
足が竦み動けずにいると、青年が薄っすらと微笑みを浮かべて背中を押してきた。障子を開けて無理中へと押し込まれる。
首元の傷口に手拭いを当てた青年は、着ている服の襟まで流れていた血を優しく拭き取っていく。
「あ、あの」
「じっとして。全く、土方さんって人は、女の子が怪我してるのにここまで放っておくなんてさ。痛くない?」
「だ、大丈夫、です……」
青年の顔が間近にまで迫り、思わずゴクリと喉を鳴らす。
その音が聞こえていたのか聞こえていなかったのか、青年は薄く頬笑みを浮かべて血を拭う手を動かした。
やがて一通り血を拭うと、彼は血に汚れた手拭いを握り締めて一歩下がった。
「流石にそのままじゃ悪化しかねないし、広間に行く前に手当をしておこうか。付いて来て」
「は、はい」
あの鬼とは違い、この青年の話し方は柔らかく優しさを帯びている。
ずっと感じていた緊張が少し解れ、返事の声は微かに弾んでいた。青年の背中を追う足取りが軽くなったのも言わずもがなである。
この場所が何なのか、彼らが一体誰なのか、どうしてここにつれてこられたのか疑問はいくらでもあるが、一先ずこの青年の親切心は信じても良さそうだ。
屋敷の中に入り青年に付いて行くと、ある一室へと連れられる。先に中に入った青年は、押し入れの中から木箱を取り出し適当な位置に腰を下ろす。
「ほら、こっちに来てくれないと手当できないよ」
「あっはい。すみません」
こちらへと手招きをする青年に促されるままに部屋の中へと入り、彼の前に正座をする。
青年は何やら強い匂いを発する透明の液体を綿に含ませると首筋へと当てた。
丁寧な手つきで傷口を消毒した後、首元には包帯が巻かれる。手当が終わり満足そうに微笑んだ青年は木箱を押入れの中へと仕舞い、部屋を出て再び付いて来るよう言葉ではなくて招きで示した。
首元に巻かれた包帯に触れながら立ち上がり、青年の後を追って部屋を出る。
それから青年に連れて行かれたのは、屋敷の中でも人目につきにくい奥座敷であった。
「近藤さん、連れてきました」
「おお、総司か。入りなさい」
先程まで見せていた物腰柔らかい雰囲気はなくなり、厳格な雰囲気が青年から醸し出される。
やっと緊張から解放されたと思っていたが再び身体が酷く強張った。
足が竦み動けずにいると、青年が薄っすらと微笑みを浮かべて背中を押してきた。障子を開けて無理中へと押し込まれる。



