想いと共に花と散る

 月を背にして鬼が立っていた。

 
 黒く長い髪、切れ長の目、白い肌、屈強な身体をした人の皮を被った鬼。



 いつでも斬り殺せると言うように、その鬼はこちらに刀の切っ先を向けた。



 あの時もそうだった。

 本物の刀を見たのに恐怖は一切無くて、ただすごい、本物だという呑気な感想を抱いただけ。


 だから、怖くはなかった。

 刀を向けられて、これから殺されるというのに怖いなんて微塵も思わなかった。


 だって、



 これでようやく楽になれる、



 なんて思ってしまったから。