想いと共に花と散る

 初めての感覚だ。こんなにも何かに対して強く興味を持ち、そして関心を抱くことなど。

「中はどうなってるのかな。抜いてもいいかな、いいよねっ!」

 危険などこの際どうだっていい。ただこの刀の刀身を見てみたい、それだけが今の重要なこと。
 長らく木箱に仕舞われていたようだが、その切れ味は健在なのだろうか。 
 この刀の持ち主は一体誰なのだろう。歴史の疎い自分でも知っている人物であったりするのだろうか。それとも名もなき武士の刀であったりするのだろうか。
 今まで動きを見せてこなかった脳が激しく回転し、あれやこれやと妄想が膨らんでいく。
 
「んんん……あれ、中々抜けない………おわあ!」

 柄を右手で握り少し引き抜こうとするが、中で錆びついてしまっているのか簡単には抜刀できない。
 そのため少し力を込めて無理矢理引き抜くと、勢いよく鞘の中から錆びついた刃が現れた。

「わあぁ……」

 思わず感嘆の声が口から溢れ出ていた。
 差し込む光を反射する刀身は鈍く光り、思わずじっと見入ってしまう。
 刀とはこんなにも美しい代物だったのかと、この時初めて刀の美しさを知った少女がここにいた。

 ズキン。

「っ!」

 ズキン、ズキン。

 ゴトンと音を立てて刀が地面に転がる。
 それと同時に強い頭痛が襲い掛かり、頭を抱えてその場に蹲った。

「う、うぅ……なんなの、これぇ……」

 今日は初めてばかりだ。こんなにも激しい頭痛は生まれてこの方一度も感じたことがない。
 これは流石にまずい状況かもしれない。起き上がれなくなるほどの頭痛は、身体の異常を予兆している可能性が大いにあるからだ。

「……だ、れか………たすけ、て…………おばあ、ちゃん………」

 か細い声は家は愚か、蔵の外にすら届くことはない。
 段々と意識が遠のいてきた。目の前の景色が歪み、足元に転がっている刀がぐにゃりと曲がる。
 埃を立ててその場に倒れ込むと、そのまま意識を手放した。