それから一行は京の町を一廻りし、市中の見回りは一段落を迎えた。
一番隊の隊士達が屯所への帰路を急ぐ中、雪と沖田は列から外れてとある場所へ向かう。
二人が向かうは、町の中でも一際賑わう甘味処。
「ごめんくださーい。二人入れますー?」
一仕事終えた沖田は一番隊の組長ではなく、ただの甘党男子へと変わる。
雪は久方ぶりに見る“総司君”に密かな安心感を抱いていた。
「はーい、そちらのお席に、って! 雪!? え、その隣りにおんのは沖田君!? 何、しばらく顔を見せんくなったと思たら、二人でどうしたんさ!」
「ひ、久しぶり。小夜」
ぎこちなく手を振れば、小夜はお盆を傍らの机の上に置いて雪の元へと駆けつけた。
そのままの勢いで抱きつかれ、雪は一歩二歩と後ずさる。
「もう! 久々に顔を見たと思たらこんなに変わって! びっくりしたんやから」
「ごめん。そんなに変わったかな、私」
「変わったわ! なんちゅーか、顔つき? が変わっとる」
変わった、その何気ない一言が深く胸の奥に突き刺さる。
背中に回された小夜の手が小刻みに震えていた。それだけで、会えずにいた空白期間の長さを思い知る。
雪は表情にこそ出さない小夜の不安を感じ取り、可愛らしい帯が巻かれた背中にそっと手を添えた。
「また、みたらし団子をもらってもいいかな」
「……うん、もちろん! すぐに二人分用意すんな」
再び向き合い、無邪気に笑った小夜は店の奥へと駆けていく。
そんな彼女の背中を見送り、二人は店先の長椅子に並んで座った。
「やっと落ち着けるね」
「思えば、ここまでただ我武者羅に駆け抜けてきたからなぁ。こうして一息吐いたのなんて、ずっと前なんじゃない」
「……あの日からだよね。こんなに変わったのって」
あの夜、新撰組は変わった。いや、変わらざるをえなかったという方が正しいかもしれない。
芹沢鴨を暗殺し、その事実を公にはしないまま時間は過ぎた。
新撰組の中に隊分けがなされたのも、今になって思えばあの夜の出来事があったからこそだったのだろう。
自分自身で言葉にしながら、その意味に強く胸を締め付けられる思いであった。
一番隊の隊士達が屯所への帰路を急ぐ中、雪と沖田は列から外れてとある場所へ向かう。
二人が向かうは、町の中でも一際賑わう甘味処。
「ごめんくださーい。二人入れますー?」
一仕事終えた沖田は一番隊の組長ではなく、ただの甘党男子へと変わる。
雪は久方ぶりに見る“総司君”に密かな安心感を抱いていた。
「はーい、そちらのお席に、って! 雪!? え、その隣りにおんのは沖田君!? 何、しばらく顔を見せんくなったと思たら、二人でどうしたんさ!」
「ひ、久しぶり。小夜」
ぎこちなく手を振れば、小夜はお盆を傍らの机の上に置いて雪の元へと駆けつけた。
そのままの勢いで抱きつかれ、雪は一歩二歩と後ずさる。
「もう! 久々に顔を見たと思たらこんなに変わって! びっくりしたんやから」
「ごめん。そんなに変わったかな、私」
「変わったわ! なんちゅーか、顔つき? が変わっとる」
変わった、その何気ない一言が深く胸の奥に突き刺さる。
背中に回された小夜の手が小刻みに震えていた。それだけで、会えずにいた空白期間の長さを思い知る。
雪は表情にこそ出さない小夜の不安を感じ取り、可愛らしい帯が巻かれた背中にそっと手を添えた。
「また、みたらし団子をもらってもいいかな」
「……うん、もちろん! すぐに二人分用意すんな」
再び向き合い、無邪気に笑った小夜は店の奥へと駆けていく。
そんな彼女の背中を見送り、二人は店先の長椅子に並んで座った。
「やっと落ち着けるね」
「思えば、ここまでただ我武者羅に駆け抜けてきたからなぁ。こうして一息吐いたのなんて、ずっと前なんじゃない」
「……あの日からだよね。こんなに変わったのって」
あの夜、新撰組は変わった。いや、変わらざるをえなかったという方が正しいかもしれない。
芹沢鴨を暗殺し、その事実を公にはしないまま時間は過ぎた。
新撰組の中に隊分けがなされたのも、今になって思えばあの夜の出来事があったからこそだったのだろう。
自分自身で言葉にしながら、その意味に強く胸を締め付けられる思いであった。



