根暗な貴方は私の光

 蕗の後ろ姿を見送り、扉が閉まると崩れ落ちるように紬は椅子に座り込んだ。机に伏せ、そのまま肩を震わせる。
 啜り泣く声が聞こえ出し、和加代は慌てて紬の背中に手を伸ばし優しく撫で始めた。枯れていたと思っていた涙はまだまだ残っていたようで、視界をあっという間に歪ませていった。

「今のまま、終わらせたかった……」

 涙混じりにそう言うと、顔を上げ縋り付くように和加代の手を握った。和加代はその手を握り返して、彼女の嘆きを静かに受け止める。
 紬は必死で我慢していた。蕗や江波方の前では泣かないように取り繕い、二人がいなくなった今だからこそ涙を流す。

「あの人を愛して、好きなままで終わらせたいの。嫌いになってから、失ってから愛したくはない。せめてもこのまま、どうか終わらせて頂戴」
「紬さん、そんな事言わないでください。私達は生きないといけないんです。皆さんの分も、私、た、ちが……」
「和加代、ちゃん……」

 涙で歪んだ視界に和加代を映す。途切れ途切れの言葉は彼女の本心であり、自分自身を偽るための台詞であった。
 止めどなく溢れ出る涙。決意を胸に抱いて旅立った仁武達が泣いていなかったのだから自分も泣かないようにしたのに、結局最後は我慢できずに泣いてしまう。

「あ、あれ、なんで。止まんない、止まんないよ。涙が、止まってくれない……」

 滝のような涙が溢れて止まらない。拭っても拭っても、涙は止まることを知らずただひたすらに流れ続けた。