一体どれだけの時間が過ぎたのだろう。雑談の話題が尽きたのと皆の体力がなくなりかけた時、徐ろに芝が席を立った。
突然のことに状況が理解できていない紬達を差し置いて芝は真剣な表情を浮かべた。
なんだか、嫌な予感がした。
「皆さんに、報告があります」
その一言で芝がこの後何を言おうとしているのか察してしまった。
ちらりと隣りに座っている蕗に視線を向ける。彼女だけがこの後に告げられる言葉が予想できていないようであった。
純粋で無知な彼女にこれから告げられるであろう言葉は衝撃が大きすぎる。できれば耳をふさいで聞こえないようにしてやりたかったが、それこそ芝への侮辱であった。
「出撃命令が出ました」
辺りに漂っていた空気がキンと凍りつく。ただ一人、状況が理解できていない蕗以外の皆の顔に影が落ちた。
感じた絶望を押し殺し、無理矢理微笑んだ和加代が立ち上がり芝に向かって頭を下げる。
「おめでとうございます」
紬も遅れて立ち上がると頭を下げた。おめでとうございますなんて口にできず、ただ表情を隠すために頭を下げた。
悔しくて、悲しくて、寂しくて、噛み締めた唇から血が滲み出す。口の中に鉄の味が広がって余計に悔しさが募った。
終わってしまう。楽しかった時間も彼らと過ごした時間も全て終わってしまうのだ。
「楽しかったよ、お前らといるの。寂しいなんて思う時間が一秒もなかった」
「俺も」
芝の言葉に仁武も頷いて賛同する。その声を聞いた紬は顔を上げてぎこちなくも笑ってみせた。
すると少しだけ芝の表情にも笑顔が戻る。やはり芝は笑っている方がいい、いつも笑顔で皆を明るくできるその笑顔を絶やさないでほしかった。
けれど、沈んだ空気を打ち壊すことすら、今の彼女達には到底できなかった。流す涙も枯れ、飛び立つことを決意した芝に掛ける言葉もない。
再び席についた芝は、仁武達と他愛もない話で盛り上がり始めた。無理のある笑顔だが、今の彼に出来る精一杯の笑顔がそれなのだろう。誰も指摘せず、沈んだ空気の中に彼らの笑い声が響いていた。
突然のことに状況が理解できていない紬達を差し置いて芝は真剣な表情を浮かべた。
なんだか、嫌な予感がした。
「皆さんに、報告があります」
その一言で芝がこの後何を言おうとしているのか察してしまった。
ちらりと隣りに座っている蕗に視線を向ける。彼女だけがこの後に告げられる言葉が予想できていないようであった。
純粋で無知な彼女にこれから告げられるであろう言葉は衝撃が大きすぎる。できれば耳をふさいで聞こえないようにしてやりたかったが、それこそ芝への侮辱であった。
「出撃命令が出ました」
辺りに漂っていた空気がキンと凍りつく。ただ一人、状況が理解できていない蕗以外の皆の顔に影が落ちた。
感じた絶望を押し殺し、無理矢理微笑んだ和加代が立ち上がり芝に向かって頭を下げる。
「おめでとうございます」
紬も遅れて立ち上がると頭を下げた。おめでとうございますなんて口にできず、ただ表情を隠すために頭を下げた。
悔しくて、悲しくて、寂しくて、噛み締めた唇から血が滲み出す。口の中に鉄の味が広がって余計に悔しさが募った。
終わってしまう。楽しかった時間も彼らと過ごした時間も全て終わってしまうのだ。
「楽しかったよ、お前らといるの。寂しいなんて思う時間が一秒もなかった」
「俺も」
芝の言葉に仁武も頷いて賛同する。その声を聞いた紬は顔を上げてぎこちなくも笑ってみせた。
すると少しだけ芝の表情にも笑顔が戻る。やはり芝は笑っている方がいい、いつも笑顔で皆を明るくできるその笑顔を絶やさないでほしかった。
けれど、沈んだ空気を打ち壊すことすら、今の彼女達には到底できなかった。流す涙も枯れ、飛び立つことを決意した芝に掛ける言葉もない。
再び席についた芝は、仁武達と他愛もない話で盛り上がり始めた。無理のある笑顔だが、今の彼に出来る精一杯の笑顔がそれなのだろう。誰も指摘せず、沈んだ空気の中に彼らの笑い声が響いていた。



