「来たよ、桜介。

三メートル級の夢妖怪が十体。

強敵だよ」



「そんなの強敵じゃねぇよ!」



桜介は自信をみなぎらせてその言葉を口にしていた。



「夢の中の世界でオレは最強!

オレはこの世界で誰にも負けねぇ!」



桜介はそう叫ぶと立ち止まり、夢妖怪たちを迎え撃つ体勢を整えていた。



「夢妖怪ども、これでもくらえ!

炎の技、マックス大炎上!」



桜介はそう言って右手を敵の方にかざすと、その右手から巨大な炎を解き放った。



その炎は愛理が今まで見た中で一番大きくて、愛理は桜介の技のスゴさに驚いていた。



(桜介の技がどんどん進化している。

桜介は夢の中の世界に来たばかりの頃よりも強くなっているよ。

でも、どうして?

桜介の思いが前よりも強くなったから?

桜介が自分の力を信じているから?)



桜介が解き放った巨大な炎が三メートル級の夢妖怪たちに直撃し、夢妖怪たちは叫び声を上げながら、次々と倒れていった。



愛理が強敵だと判断した夢妖怪たちは桜介の技の前に三十秒で全滅したのだ。



もしかしたら桜介は、夢の中の世界で本当に最強なのかもしれないと愛理は思った。



自信に満ちた桜介の後ろ姿には、幼い頃の弱々しさを感じなかった。



人は時と共に成長して強くなる。



愛理はそのことを改めて感じていた。