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砂浜に描いたうたかたの夢

作品番号
1670530

最終更新日
2023/2/5

砂浜に描いたうたかたの夢

茶葉月ゆら/著 ジャンル/恋愛(純愛)
322ページ
PV数/5,879・総文字数/149,596

はじまりは、
お天道様が本気を出す前の夏の朝。



「──それなら、旅行に行くか?」



日々の勉強に疲弊して限界寸前に達した私に
帰省を提案した父の声だった。


𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃
𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃



「いなくなったら、喧嘩することも、

笑い合うことも、一緒にご飯を食べることも、

こうやって触れ合うこともできなくなるんだよ」



目を瞑ったまま
強く言い聞かせるように言葉を紡ぐ姿も



「……馬鹿で意地悪でチャラくて、ズルい男でごめんね」



いたずらっ子のように笑う顔も

指切りをした小指の温もりも

別れ際の不意打ちの口づけも


全部──一生忘れない。



「俺が恋しいからって、予定早めるなよ?」



そう言って頭を優しく撫でた君は
結局最後まで女心を理解できなかったけど、

誰よりも愛に溢れた最高の王子様だった。












これはわずか7日間の
儚く切ない、ひと夏の愛の物語。



2022/8/19 執筆開始
2023/1/31 完結公開