──ピピッ、ピピッ。



「んんー……」



頭上で目覚まし時計が鳴り出し、眉間にシワを寄せた。

いつもと違う背中の感覚に違和感を覚えつつ、薄く目を開けて腕を伸ばす。


午前5時。まだ少し眠いけど、宿題のために起きなきゃ。


布団の上で伸びをし、まだ寝ている伯母と智を起こさないよう静かに起床。薄暗い廊下を歩いて洗面所へ。


うわー、浮腫んでる。昨日お肉食べすぎたもんな。


丸みを帯びた顔に苦笑いしつつ、髪の毛を後ろで1つに結び、冷水で顔を洗う。

客間に戻ろうとドアに手を伸ばしたその時、曇りガラスに人影が現れた。


腰が曲がったこの姿は……。

予想していると、引き戸がゆっくりと開いた。



「あら、おはよう」

「おはよう……」



あぁやっぱり。ひいおばあちゃんだった。

場所を譲り、鏡越しに目を合わせる。



「早いね。もう起きてるなんて」

「そうかい? 私はいつもこの時間には起きてるよ」



目を弓なりに細めて、器用に蛇口をひねって顔を洗い始めた。