夏休み最終日の午前10時。

社会の宿題を終わらせた私は、軽い足取りで部屋を出て階段を下りた。



「ぐぁぁぁ、もうやだよぉぉ」

「自分で撒いた種でしょ。ちゃんと刈り取りなさい」



リビングのドアを開けると、ダイニングテーブルで宿題に奮闘している楓を発見。隣には母が座っており、熱心に教えている。

勉強の邪魔にならないよう、こっそりキッチンに忍び込み、冷凍庫を開けた。


ラッキー! キャラメル味はっけーん! いただきまーす!



「あー! それ俺が狙ってたやつー!」



棒アイスにかぶりつくやいなや、楓が大声で指を差してきた。

くそっ、見つかったか。せめてもう少し奥で開けるべきだった。



「算数の宿題ですか。最終日なのに可哀想ですねぇ」

「うるせーな。そういう姉ちゃんこそ終わったのかよ」

「残念でしたー。もう終わってますぅー」

「はぁ⁉ 嘘だろ⁉ 毎年最終日の夜まで半泣きでやってたのに⁉」

「今年の私は一味違うんですよーだ」

「一花! 煽らないの!」



案の定、母の怒号が飛んできた。けれど、今の私は宿題を全て終えて無敵状態。

ルンルン気分でアイスを完食してリビングを後にする。