春川 メルさんのレビュー一覧
『我々は、反乱軍である』 『仲間よ、戦士よ、集結せよ』 ──その日、"私の日常"にピキリとヒビが入った。 ------ 学校という狭い世界の中に存在するヒエラルキー。 その最下層にいる人々が立ち上がったことから、物語は始まる。 集まった戦士たちは、主人公をはじめヒエラルキーの位置も抱えている事情も様々な面々。 そして彼らの声を、想いを、作者さんはとても瑞々しく、痛痛しいくらいリアルに表現しています。 『だから、お願い』 『耳を傾けて、声を聞いて』 『──私も、叫ぶから』 読んだ後、明日はもっと、人にやさしくできる気がする。 もっと素直に、いろいろな人の声を聴ける気がする。 単なる青春群像劇の枠に収まらない。今まさに学生の人はもちろん大人の心にも響く、不器用なクーデターのお話です。 ぜひ、ご一読を。
赤いつなぎを着た彼は、いつも同じ豚しょうが焼き丼を買っていく。 ちょっとずつ彼を知るたびに、ちょっとずつ大きくなっていく想い。 思いきって通い始めた自動車学校も、彼が愛するバイクに乗れると考えたら、ワクワクしちゃう。 明日、なにがあるか分からないから。もしかしたら会えなくなるかもしれないから。だから、伝える。 単純なようで、それでいてとっても難しいこと。それができる真白ちゃんは、すごく素敵な女の子です。 こんな子が働いてるお弁当屋さんなら、毎日だって通ってしまいそう。光太郎さんも、彼女のそんな朗らかさに癒されているんだと思います。 ほかほか心があたたかくなって、自分も新しく何かを始めてみたくなる。 『恋ごころトルク』は、そんな、ぬくもりに満ちたお話。 最後に、真白ちゃんと声をそろえてひとこと。 「タンデムをご所望です!」
ほろ苦いビターな恋と、 ときめくスイートな恋と、 そしてちょっぴりオトナな恋。 作者である日生春歌さんは、とてもやさしい文章をお書きになる作家さん。 すべてのお話にこれからの展開を思わず想像させてしまうような、そんな魅力があって。 あなたのお気に入りのお話が、きっと見つかるはずです! 一粒でなんと三度もおいしい、素敵なバレンタイン短編集。 ぜひ、ご賞味ください*