短い頁の中にもゆるやかに漂う、初秋の風景。
それはまるで、白く柔らかな布地にじわじわと染み込んで、二度と落ちなくなった汚れのような。
そんな彼に、こころもからだも、侵された。
「いらっしゃい、また来たの」
小さな、木造の平屋の。
その古ぼけた磨りガラスの引き戸の向こうで、色白で端正な顔の彼が、今日もわたしを甘く誘う。
『全部捨てて、全部壊して、魂ごとからっぽになったら、きみのことを愛してあげる』
──ねぇ、わたしの中を、あなたでいっぱいにしてよ。
たとえそれが、歪んだ恋のカタチでも。
きっとわたしは、満たされる。
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少しだけノスタルジックな“和”の空間の中にある、少し歪んだ愛のお話。
ぜひみなさんも、覗いてみてください。