聖二に手をひかれるがまま連れてこられた先には一台の車。
どうやら聖二は車で来てたらしい。

白い色のミドルサイズのSUV型の車に聖二は乗り込む。
初めて見る車と聖二のコラボに不覚にも見惚れていると、全然動かなかった私に痺れを切らしたのか、内側から助手席を開けられる。


「オイ。早く乗れ」


ハッとして、慌てて身を車内に滑り込ませると、シートベルトをする前に忙しなく発進してしまう。
カチャ、とようやくベルトをはめたあとは、エンジンの音だけが聞こえてくる。


そうか……聖二も運転出来るんだよね。
いつも家でばっか会うから……。


ちらりと盗み見るように聖二に視線を向けて見ると、いつもと同じ真顔のはずが、なぜかハンドルを握ってると言うだけで2割増しくらいにかっこよく見えてしまう。


だって、ずるいよ!
私の同級生は、まだぎりぎり免許取れない人がほとんどだし。
4コしか違わなくても、こういう差ってすごく違って見えるからオトナな感じがしちゃってドキドキもするよ!

慣れないシチュエーションに、どうしていいのかわかんない。
外を眺めてればいいのか、それともなにか話しかけたらいいのか。

ふと、あることに気付いた。

初めから約束していたわけではないけど……。