「……カンナ」

 急にクロークスが口を開きました。

 初めて自分のことを名前で呼んだので、カンナはびっくりしてクロークスの顔を見ました。

「いつか俺が国王になったら、俺は父親と同じことは絶対にしたくない」

 それは、リリィの願い――戦争のない世界。

「誰も傷つかない、誰も悲しまない、ひとりひとりが幸せになれる国をつくりたいと思ってる。協力してくれるかな」
 
 言われたカンナは、ふっと微笑みました。

「夫の夢を支えるのが妻の役目よ」

 それから二人は夫婦になりましたが、夫と妻というより、同じ目標に向かって突き進む同志のような関係になりました。