赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜

そして今日も……いや。

今日は特にそんな気分にはなれなかった。


払われた手をさすりながら、女は寂しげに眉を寄せる。

他の男であればそれを見て興奮するのだろうが、ジュークは嫌悪も露わにして無言でその場を去った。


「つれないお方……」

最後に呟いた女の声は、ジュークには届くことなく終わる。