15年前。 妻が盲腸で入院した。 会社を途中で抜け出して、僕は妻が入院している病院へ急いだ。 ベッドに横たわる彼女は笑いながら、 「お腹が痛い」と言っていた。 病室を出て、安心したのか、その場にしゃがみ込んだことを覚えている。 学校から帰宅する娘を迎えに行って、 娘に、カレーを作った。 “美味しくない”と言われた。 その日から、僕は時々自分で夕食を作るようになった。