眠れない夜が怖い。最近は余り無かったが、不眠の時は必ずあの事を思い出す。ここ暫くはそういった事もなく眠りに就けていたが、敬子の一言で蘇りかけた。
刑務所……この言葉で忘れようとしていたあの事が、封印を解かれた魍魎のように現れ出しそうだ。
もうあれから6年になるなと天井を見上げながら、つい考えてしまっていた。
6年前、和也は父親を殺した。
包丁の刃先が三分の一も折れ曲がる程、滅多刺しにしたのである。
父親の良蔵は、和也が知る限りまともに働いた事がなかった。父親としてという以前に、人間として尊敬の対象には出来ない人物であった。
女の出入りが激しく、それも引っ切り無しで家に連れ込んでくる。幼い和也の事など眼中に無いかのようで、傍で起きていてもお構いなしに連れ込んだ女と事をする。
何処で声を掛けて来るのか判らないが、連れて来た女がそのまま家に居つく事もあった。それでも長くて半年、短いのは二、三日で居なくなる。
まともに働く事は無く、たまに職にありついてもすぐに辞めた。あちこちから借金をし、その為に年中住いも変わった。引越しの度に学校も転校させられて、お陰で小学校だけで12回も転校させられた。
和也が一番不思議に思っていた事は、名前をよく変える事だった。小学校に入るまでは原田と名乗っていたが、和也が殺した時は稲垣と名乗っていた。幾つ名前を変えたか今では思い出せない程だ。
そういう事もあり、和也は小さい頃から、この人は自分の本当の父親ではないのではと思っていた。それは、ある意味願望でもあったと思う。
とにかく良蔵を父親として認めたくなかったのだろう。
そういう環境だったから、小さい頃は良蔵のせいで虐められる事も多かった。
日頃、浴びるように酒を飲んで暴れ、隣近所に平気で金をせびる。和也と同い年位の子を持つ親達は、あの子とは遊んじゃ駄目よと陰で言い、言われた子供達はそういった事で和也を虐めの対象にした。
刑務所……この言葉で忘れようとしていたあの事が、封印を解かれた魍魎のように現れ出しそうだ。
もうあれから6年になるなと天井を見上げながら、つい考えてしまっていた。
6年前、和也は父親を殺した。
包丁の刃先が三分の一も折れ曲がる程、滅多刺しにしたのである。
父親の良蔵は、和也が知る限りまともに働いた事がなかった。父親としてという以前に、人間として尊敬の対象には出来ない人物であった。
女の出入りが激しく、それも引っ切り無しで家に連れ込んでくる。幼い和也の事など眼中に無いかのようで、傍で起きていてもお構いなしに連れ込んだ女と事をする。
何処で声を掛けて来るのか判らないが、連れて来た女がそのまま家に居つく事もあった。それでも長くて半年、短いのは二、三日で居なくなる。
まともに働く事は無く、たまに職にありついてもすぐに辞めた。あちこちから借金をし、その為に年中住いも変わった。引越しの度に学校も転校させられて、お陰で小学校だけで12回も転校させられた。
和也が一番不思議に思っていた事は、名前をよく変える事だった。小学校に入るまでは原田と名乗っていたが、和也が殺した時は稲垣と名乗っていた。幾つ名前を変えたか今では思い出せない程だ。
そういう事もあり、和也は小さい頃から、この人は自分の本当の父親ではないのではと思っていた。それは、ある意味願望でもあったと思う。
とにかく良蔵を父親として認めたくなかったのだろう。
そういう環境だったから、小さい頃は良蔵のせいで虐められる事も多かった。
日頃、浴びるように酒を飲んで暴れ、隣近所に平気で金をせびる。和也と同い年位の子を持つ親達は、あの子とは遊んじゃ駄目よと陰で言い、言われた子供達はそういった事で和也を虐めの対象にした。



