天気……今日は朝から青空が広がっていて、雲は一つもなくて空全体が遠くまで澄みわたっていた。吹く風もさわやかで、気持ちのよい一日を過ごすことができた。
今朝の十時ごろ、杜真子がキャットフードと飲み物を持って洞窟へやってきた。それからまもなく馬小跳もやってきて、干し魚や、ソーセージを持ってきてくれた。馬小跳は、額に青筋を立てていたので、それを見て、何か不満なことがあって、気持ちがおさまらなくて、むしゃくしゃしているのがわかった。
「どうしたの。そんな怖い顔をして」
杜真子が、けげんそうな顔をしながら馬小跳に聞いていた。
「おれの胸のなかには怒りがたぎっている」
馬小跳がそう答えていた。
頭から湯気を立てている馬小跳を見て、杜真子が、ひるんでいた。
「おれが昨日、何を見たか知っているか?」
馬小跳が怖い顔をしたまま、杜真子に聞いていた。
「知るわけがないでしょう。何を見たの?」
杜真子が聞き返していた。
「サル使いの男がいて、サルに芸をやらせたり、サルといっしょに写真を撮らせて、お金を取っていた」
馬小跳がそう答えていた。それを聞いて、ぼくは馬小跳が、ぷんぷんしているわけがわかった。馬小跳もサルの大道芸や、写真を撮っているところを見たのだと、ぼくは思った。杜真子が興味深そうな顔をしながら
「サル回しのことを言っているの。どこでやっていたの?」
と、馬小跳に聞き返していた。
「この公園のなかでやっていた」
馬小跳がそう答えていた。
「サル回しの、どこがよくないの。面白い芸を見せたり、記念写真を撮らせるのだから、お金を取っても悪くはないと思うわ」
杜真子がそう答えていた。それを聞いて馬小跳が、顔の表情をきりっと引き締めながら
「何を言っているのだ。サルが技に失敗したり、言うとおりにしないと、サル使いの男はサルにむちを当てて、ぴしゃぴしゃ、たたいていた。見るに忍びなくて、おれは最後まで見ることができなかった」
と言っていた。それを聞いて杜真子が
「そうだったの。それはかわいそうだわね。それで、かりかりしているの?」
と聞いた。馬小跳がうなずいた。
「『百聞は一見に如かず』というから、わたしも、その場を実際に、この目で見て見たいわ」
杜真子がそう言った。
「いいよ。今日もやっていると思うから、おれが連れていくよ」
馬小跳がそう答えていた。
それからまもなく馬小跳は杜真子を連れて、サル回しがおこなわれている場所に出かけていった。ぼくもあとからついていった。サル回しがおこなわれている場所の近くまで来ると、昨日と同じように黒山の人だかりができていて、すぐにはなかに入っていけないほど人が多かった。馬小跳と杜真子は、黒山の外でしばらく待ってから、ようやくサルの近くまで行くことができた。ぼくも杜真子の腕に抱かれながら、サルの動作や仕草をじっと見ていた。サルが技に失敗したり、サル使いの男の言うとおりにしなかったら、サル使いの男は、昨日と同じようにサルの体を、むちでぴしゃぴしゃと、たたいていた。それを見て、馬小跳が
「わかっただろう。こんなひどいことをしてサルに芸をやらせるのは動物を虐待しているのと同じだ」
と言った。それを聞いて杜真子が
「わたしもそう思うわ。サルを助けてやりたいわ。でもどうやったら助けてあげることができるのかしら」
と言っていた。
「おれ、一人の力ではどうすることもできない」
馬小跳は自信がなさそうな声でそう答えていた。
「だったら、どうするの?」
杜真子が聞き返していた。
「唐飛たちと相談して、話し合いをしようと思っている。『三人寄れば文殊の知恵』というから、みんなで知恵を出し合ったら、何かよい方法が思い浮かぶかもしれない」
馬小跳がそう答えていた。
「そうだわね。わたしもサルを助けるための何かよい方法がないか考えることにするわ」
杜真子がそう答えていた。馬小跳と杜真子は、サルが虐待されているのを見るに忍びなくなったので、それからまもなくサル回しがおこなわれているところから、そっと離れていった。馬小跳と杜真子は、ぼくを洞窟まで連れていってくれたあと、うちへ帰っていった。帰る間際に、杜真子がぼくに
「あなたは笑うことができる猫だから、気をつけてね。サル使いの男がそのことを知ったら、あなたもサルと同じようにきっと、お金儲けのために利用されるに決まっているわ」
と言った。ぼくはそれを聞いて
「にゃーん」
と一声鳴いて、わかったという意思表示をした。ぼくも、あのサル使いの男は大嫌いだから、あの男にお金儲けをさせるために、笑いたくもない笑いを浮かべたり、サルの言葉で会話をしている場面を見せたくないと思っていたから、杜真子が言ったことを肝に銘じておくことにした。馬小跳や杜真子が、ぼくと同じように、あのサルを助けてやりたいと思っていることを知って、ぼくはとてもうれしくなった。あのサル使いの男から、蹴とばされたおしりは、まだ、ひりひりして、とても痛いが、馬小跳や杜真子や、馬小跳の友だちがいつかきっと、仕返しをしてくれるはずだと、ぼくはかたく信じている。
馬小跳と杜真子が帰っていってから、ぼくはうちのなかでお昼ご飯を食べて、そのあと湖畔にそって、しばらく歩いていた。すると向こうから地包天がやってきた。
「笑い猫、あのサル使いの男は、今日もまた熱心に興行を打っているわね」
地包天がそう言った。
「お客さんを楽しませるのはいいが、サルをむちでたたいて、無理やり、芸をやらせるのは絶対に許せない。見ているお客さんも良心が痛まないのだろうか」
ぼくは地包天にそう言った。すると地包天が
「痛まないこともないと思うわ。でもそれよりも楽しい気持ちをより強く感じるから、人だかりが絶えないのではないのかなあ」
地包天がそう分析していた。
「さっき、馬小跳と杜真子がうちへやってきて、あのサルを助けるために手を打つと話していた」
ぼくは地包天にそう言った。すると地包天が
「どうやって助けるつもりかしら?」
と言った。
「友だちと相談して、知恵を出し合って助けると、馬小跳が話していた」
ぼくは地包天にそう言った。
「サル使いの男は、見るからに怖そうな男だから、サルを助けるためには一筋縄ではいかないと思うわ。子どもたちだけで大丈夫かしら」
地包天がそう言った。
「子どもたちはみんな正義感に燃えているから、たとえ一度や二度、失敗しても、けっしてあきらめることはなくて敢然と立ち向かっていくはずだよ」
ぼくは地包天にそう言った。
「そうだよね。わたしも、いつかきっと、子どもたちがサルを助け出してくれると信じているわ」
地包天がそう答えた。ぼくはうなずいた。
「子どもたちがサルを助け出すことに成功したら、サルはそのあと、どこへ連れていかれるのでしょうか」
地包天が聞いた。
「それはまだよくわからないけど、サルが一番快適に感じるところで生活できたらいいなと、ぼくは思っている」
ぼくは地包天にそう言った。
「そうですね。子どもたちがきっとよい場所を捜して、そこで生活させると思うわ」
地包天がそう答えていた。
「ぼくもそう思っている」
ぼくは地包天にそう答えた。ぼくと地包天は、そのあといっしょに湖畔にそって、しばらく散策してから、それぞれのうちへ帰っていった。
今朝の十時ごろ、杜真子がキャットフードと飲み物を持って洞窟へやってきた。それからまもなく馬小跳もやってきて、干し魚や、ソーセージを持ってきてくれた。馬小跳は、額に青筋を立てていたので、それを見て、何か不満なことがあって、気持ちがおさまらなくて、むしゃくしゃしているのがわかった。
「どうしたの。そんな怖い顔をして」
杜真子が、けげんそうな顔をしながら馬小跳に聞いていた。
「おれの胸のなかには怒りがたぎっている」
馬小跳がそう答えていた。
頭から湯気を立てている馬小跳を見て、杜真子が、ひるんでいた。
「おれが昨日、何を見たか知っているか?」
馬小跳が怖い顔をしたまま、杜真子に聞いていた。
「知るわけがないでしょう。何を見たの?」
杜真子が聞き返していた。
「サル使いの男がいて、サルに芸をやらせたり、サルといっしょに写真を撮らせて、お金を取っていた」
馬小跳がそう答えていた。それを聞いて、ぼくは馬小跳が、ぷんぷんしているわけがわかった。馬小跳もサルの大道芸や、写真を撮っているところを見たのだと、ぼくは思った。杜真子が興味深そうな顔をしながら
「サル回しのことを言っているの。どこでやっていたの?」
と、馬小跳に聞き返していた。
「この公園のなかでやっていた」
馬小跳がそう答えていた。
「サル回しの、どこがよくないの。面白い芸を見せたり、記念写真を撮らせるのだから、お金を取っても悪くはないと思うわ」
杜真子がそう答えていた。それを聞いて馬小跳が、顔の表情をきりっと引き締めながら
「何を言っているのだ。サルが技に失敗したり、言うとおりにしないと、サル使いの男はサルにむちを当てて、ぴしゃぴしゃ、たたいていた。見るに忍びなくて、おれは最後まで見ることができなかった」
と言っていた。それを聞いて杜真子が
「そうだったの。それはかわいそうだわね。それで、かりかりしているの?」
と聞いた。馬小跳がうなずいた。
「『百聞は一見に如かず』というから、わたしも、その場を実際に、この目で見て見たいわ」
杜真子がそう言った。
「いいよ。今日もやっていると思うから、おれが連れていくよ」
馬小跳がそう答えていた。
それからまもなく馬小跳は杜真子を連れて、サル回しがおこなわれている場所に出かけていった。ぼくもあとからついていった。サル回しがおこなわれている場所の近くまで来ると、昨日と同じように黒山の人だかりができていて、すぐにはなかに入っていけないほど人が多かった。馬小跳と杜真子は、黒山の外でしばらく待ってから、ようやくサルの近くまで行くことができた。ぼくも杜真子の腕に抱かれながら、サルの動作や仕草をじっと見ていた。サルが技に失敗したり、サル使いの男の言うとおりにしなかったら、サル使いの男は、昨日と同じようにサルの体を、むちでぴしゃぴしゃと、たたいていた。それを見て、馬小跳が
「わかっただろう。こんなひどいことをしてサルに芸をやらせるのは動物を虐待しているのと同じだ」
と言った。それを聞いて杜真子が
「わたしもそう思うわ。サルを助けてやりたいわ。でもどうやったら助けてあげることができるのかしら」
と言っていた。
「おれ、一人の力ではどうすることもできない」
馬小跳は自信がなさそうな声でそう答えていた。
「だったら、どうするの?」
杜真子が聞き返していた。
「唐飛たちと相談して、話し合いをしようと思っている。『三人寄れば文殊の知恵』というから、みんなで知恵を出し合ったら、何かよい方法が思い浮かぶかもしれない」
馬小跳がそう答えていた。
「そうだわね。わたしもサルを助けるための何かよい方法がないか考えることにするわ」
杜真子がそう答えていた。馬小跳と杜真子は、サルが虐待されているのを見るに忍びなくなったので、それからまもなくサル回しがおこなわれているところから、そっと離れていった。馬小跳と杜真子は、ぼくを洞窟まで連れていってくれたあと、うちへ帰っていった。帰る間際に、杜真子がぼくに
「あなたは笑うことができる猫だから、気をつけてね。サル使いの男がそのことを知ったら、あなたもサルと同じようにきっと、お金儲けのために利用されるに決まっているわ」
と言った。ぼくはそれを聞いて
「にゃーん」
と一声鳴いて、わかったという意思表示をした。ぼくも、あのサル使いの男は大嫌いだから、あの男にお金儲けをさせるために、笑いたくもない笑いを浮かべたり、サルの言葉で会話をしている場面を見せたくないと思っていたから、杜真子が言ったことを肝に銘じておくことにした。馬小跳や杜真子が、ぼくと同じように、あのサルを助けてやりたいと思っていることを知って、ぼくはとてもうれしくなった。あのサル使いの男から、蹴とばされたおしりは、まだ、ひりひりして、とても痛いが、馬小跳や杜真子や、馬小跳の友だちがいつかきっと、仕返しをしてくれるはずだと、ぼくはかたく信じている。
馬小跳と杜真子が帰っていってから、ぼくはうちのなかでお昼ご飯を食べて、そのあと湖畔にそって、しばらく歩いていた。すると向こうから地包天がやってきた。
「笑い猫、あのサル使いの男は、今日もまた熱心に興行を打っているわね」
地包天がそう言った。
「お客さんを楽しませるのはいいが、サルをむちでたたいて、無理やり、芸をやらせるのは絶対に許せない。見ているお客さんも良心が痛まないのだろうか」
ぼくは地包天にそう言った。すると地包天が
「痛まないこともないと思うわ。でもそれよりも楽しい気持ちをより強く感じるから、人だかりが絶えないのではないのかなあ」
地包天がそう分析していた。
「さっき、馬小跳と杜真子がうちへやってきて、あのサルを助けるために手を打つと話していた」
ぼくは地包天にそう言った。すると地包天が
「どうやって助けるつもりかしら?」
と言った。
「友だちと相談して、知恵を出し合って助けると、馬小跳が話していた」
ぼくは地包天にそう言った。
「サル使いの男は、見るからに怖そうな男だから、サルを助けるためには一筋縄ではいかないと思うわ。子どもたちだけで大丈夫かしら」
地包天がそう言った。
「子どもたちはみんな正義感に燃えているから、たとえ一度や二度、失敗しても、けっしてあきらめることはなくて敢然と立ち向かっていくはずだよ」
ぼくは地包天にそう言った。
「そうだよね。わたしも、いつかきっと、子どもたちがサルを助け出してくれると信じているわ」
地包天がそう答えた。ぼくはうなずいた。
「子どもたちがサルを助け出すことに成功したら、サルはそのあと、どこへ連れていかれるのでしょうか」
地包天が聞いた。
「それはまだよくわからないけど、サルが一番快適に感じるところで生活できたらいいなと、ぼくは思っている」
ぼくは地包天にそう言った。
「そうですね。子どもたちがきっとよい場所を捜して、そこで生活させると思うわ」
地包天がそう答えていた。
「ぼくもそう思っている」
ぼくは地包天にそう答えた。ぼくと地包天は、そのあといっしょに湖畔にそって、しばらく散策してから、それぞれのうちへ帰っていった。

