天気……今日はとても暑い一日だった。夕方になって暑さは少し和らいだが、それでも気温は三十度近くあるように思われた。最低気温が摂氏二十五度以上の夜のことを熱帯夜というそうだが、今夜も寝苦しい夜になりそうだ。
馬小跳のお父さんとお母さんが帰ってきてから、馬小跳はモンキーが、昼間とんでもないことをやらかしたことを話した。ガスコンロの火のつけかたを覚えて、焼きリンゴや焼きバナナを作っていたことを話すと、お父さんもお母さんも、びっくりしていた。そのあとすぐにお父さんが
「明日の朝、サルを動物園に連れていく」
ときっぱりと言った。お母さんは
「いますぐにでも連れていってほしいわ」
と言っていた。お父さんはそれを聞いて
「わかった。ではこれから動物園に電話をかけて取りにきてもらう」
と答えていた。それを聞いて馬小跳が
「ちょっと待って」
と言って口をはさんだ。
「何だ。何か不満でもあるのか?」
と言ってお父さんが口をとがらしていた。
「ぼくとしては、動物園ではなくて山のなかに連れていってほしいと思っている」
馬小跳がそう言って自分の意見を曲げなかった。そのために話し合いはしばらく平行線をたどっていて、なかなか結論が出なかったが、結局はお父さんとお母さんが折れて馬小跳の考えを受け入れて山のなかに連れていくことになった。明日の朝、お父さんが仕事を休んでレンタカーを借りてきて、その車にモンキーを乗せて山のなかに運ぶことになった。
モンキーにそのことを伝えるべきかどうか、ぼくは迷ったが、なかなか伝えることができないでいた。モンキーは馬小跳のうちをとても気に入っているように見えたから、明日の朝、ここを出なければならないことがわかったら悲しむかもしれないと思ったからだ。
お母さんがその晩、モンキーのために特別なごちそうを用意してくれた。動物園で飼育されているサルがどんなものを食べているのかをインターネットで調べてから、買い物に出て、おいしいものをたくさん買ってきてテーブルのうえに並べてくれた。ご飯の準備が整うとお母さんが馬小跳に
「サルを部屋から連れてきて」
と言って声をかけていた。それを聞いて馬小跳がモンキーを抱いて食堂に連れてきた。ぼくもあとからついていった。それからまもなく、みんなで楽しい夕ご飯のひとときが始まった。モンキーも楽しそうに食べていた。
馬小跳のお父さんは食後にジョギングマシンに乗って体を動かす習慣があるので、今日も食後にその運動をおこなっていた。モンキーは珍しそうな顔をしながらお父さんを見ていた。モンキーがぼくに
「何をしているの?」
と聞いた。
「運動をしているのだ」
ぼくはモンキーにそう答えた。
「運動?」
モンキーが聞き返した。ぼくはうなずいた。
「ご飯を食べたあとは血糖値があがって健康によくないから、血糖値があがらないように運動をしているのだ」
ぼくはモンキーにそう説明した。するとモンキーが
「ぼくたちはご飯を食べたあとは山のなかをかけめぐっているよ」
と答えていた。
「そうだな。それも立派な運動だよ」
ぼくはモンキーにそう答えた。
「運動をすると健康によいの?」
モンキーが聞いた。
「太らないで健康な体を維持していくことができる」
ぼくはモンキーにそう答えた。するとモンキーが
「ぼくが太っていないのは運動をしているおかげかもしれないね」
と言った。
「そうだな。ブタやウシが太っているのは食べたあと運動をしないからだと思う」
ぼくはモンキーにそう答えた。
馬小跳のお父さんは運動を終えたあと、書斎に入っていって本棚から本を取り出して机の上に置いて読み始めた。書斎の入口のドアが少し開いていたので、モンキーはドアのすきまから、なかをのぞきながら
「何をしているの?」
と、ぼくに聞いた。
「本を読んでいるのだ」
ぼくはモンキーに、そう答えた。
「本を読んだら、何かいいことがあるの?」
モンキーが聞いた。
「いままで知らなかったことを知ることができたり、楽しいひとときを過ごすことができる」
ぼくはモンキーにそう答えた。それを聞いてモンキーが
「ぼくも本を読んでみようかな」
と言った。ぼくはそれを聞いて、思わずおかしくなったので、笑い出した。それを見てモンキーが
「何が、そんなにおかしいの?」
と、真顔で聞き返してきた。
「本のなかには字がたくさん書かれているから、おまえに本が読めるわけがないではないか」
ぼくはモンキーにそう言った。
「字が読めるようになったら本が読めるようになるの?」
モンキーがそう聞いた。
「そうだよ。でも字を読むのはとても難しいよ。人の話がわかるぼくでも字は読めないのだから」
ぼくはモンキーにそう答えた。
馬小跳のお父さんは一時間ほど書斎にこもって本を読んだあと、書斎から出てきて馬小跳に
「サルをお風呂に入れてやろう」
と言った。馬小跳はうなずいていた。
「いいですね。体をきれいに洗ってから山のなかに連れていきましょう」
馬小跳はそう答えていた。
それからまもなく馬小跳のお父さんはモンキーを抱いてバスルームに連れていった。シャワーのノイズを開いて、温かいお湯を出してモンキーの体にかけてやると、モンキーがとても喜んでいた。馬小跳のお父さんはジャスミンのかおりがするシャンプーをモンキーの体にふりかけてから、タオルでごしごしと洗っていた。体についていた汚れがきれいに落ちてすっきりしたモンキーは、さっぱりした顔をしながらバスルームから出てきた。馬小跳はそのあとモンキーを自分の部屋に連れていって、モンキーの濡れた体をタオルできれいに拭いてから、ドライヤーをかけて毛を乾かしていた。部屋のなかにはジャスミンのかおりがあふれていて、あまいにおいが、ぼくの鼻のなかにぷんぷん入ってきた。
ぼくとモンキーはそれからまもなく、馬小跳の部屋で寝ることにした。モンキーは睡眠時間が短いので、ぼくが眠りについたあとも起きていた。しばらくしてから、ぼくは不思議な夢を見た。海のなかに落ちて、おぼれそうになっている夢だった。海のなかは、におっていて、ジャスミンのかおりが、ぷんぷんしていた。ぼくは、はっとして目を覚ました。すると、いつのまにかモンキーの姿が消えていた。
(どこに行ったのだろう?)
ぼくはそう思って、部屋の入口のところまでいった。するとかぎがはずされていてドアが開いているのがわかった。ジャスミンのかおりが、バスルームのなかからしているのに気がついたので、ぼくは急いでバスルームのなかに行った。するとそこにモンキーがいてシャワーを浴びているのが見えた。体にはジャスミンのかおりがするシャンプーをいっぱいふりかけていた。昨晩、馬小跳のお父さんから体を洗ってもらったときに、モンキーはシャワーのノズルの開け方や、シャンプーのふたの開け方を覚えていたのにちがいないと、ぼくは思った。バスルームのなかは水浸しになっていて、水がバスルームの外まであふれていた。ぼくはびっくりして
「何をしているのだ。早くノズルを閉めろ」
と大声でモンキーに言った。するとモンキーが困惑したような顔をしながら
「開け方はわかるけど締め方はわからない」
と言った。ぼくもわからなかったので、ぼくはすぐに馬小跳の部屋に飛んで戻り、ぐっすり寝ていた馬小跳を起こした。バスルームのなかから、ジャスミンのにおいがしているのに気がついた馬小跳はすぐにバスルームのなかにかけこんでシャワーのノズルを閉めていた。水がバスルームの外まであふれ出ているのを見て、馬小跳はお父さんとお母さんにも早く知らせなければと思って、お父さんとお母さんが寝ている部屋の前までかけていって、ドアをどんどん、たたいていた。お父さんとお母さんもびっくりしてバスルームのところまでやってきた。
「まったく、このサルのいたずらには困ったものだわ。手に負えない」
馬小跳のお母さんはそう言って、厳しい顔をしながら、モンキーをじっと見ていた。
「夜が明けたらすぐに車の手配をして、どこか遠いところへ連れていく」
馬小跳のお父さんは不愉快そうな顔をしながら、そう言っていた。
それからまもなく馬小跳は、お父さんやお母さんといっしょに、明け方近くまで、水が流れ込んでいた居間や台所の床板をモップやぞうきんで拭いていた。
馬小跳のお父さんとお母さんが帰ってきてから、馬小跳はモンキーが、昼間とんでもないことをやらかしたことを話した。ガスコンロの火のつけかたを覚えて、焼きリンゴや焼きバナナを作っていたことを話すと、お父さんもお母さんも、びっくりしていた。そのあとすぐにお父さんが
「明日の朝、サルを動物園に連れていく」
ときっぱりと言った。お母さんは
「いますぐにでも連れていってほしいわ」
と言っていた。お父さんはそれを聞いて
「わかった。ではこれから動物園に電話をかけて取りにきてもらう」
と答えていた。それを聞いて馬小跳が
「ちょっと待って」
と言って口をはさんだ。
「何だ。何か不満でもあるのか?」
と言ってお父さんが口をとがらしていた。
「ぼくとしては、動物園ではなくて山のなかに連れていってほしいと思っている」
馬小跳がそう言って自分の意見を曲げなかった。そのために話し合いはしばらく平行線をたどっていて、なかなか結論が出なかったが、結局はお父さんとお母さんが折れて馬小跳の考えを受け入れて山のなかに連れていくことになった。明日の朝、お父さんが仕事を休んでレンタカーを借りてきて、その車にモンキーを乗せて山のなかに運ぶことになった。
モンキーにそのことを伝えるべきかどうか、ぼくは迷ったが、なかなか伝えることができないでいた。モンキーは馬小跳のうちをとても気に入っているように見えたから、明日の朝、ここを出なければならないことがわかったら悲しむかもしれないと思ったからだ。
お母さんがその晩、モンキーのために特別なごちそうを用意してくれた。動物園で飼育されているサルがどんなものを食べているのかをインターネットで調べてから、買い物に出て、おいしいものをたくさん買ってきてテーブルのうえに並べてくれた。ご飯の準備が整うとお母さんが馬小跳に
「サルを部屋から連れてきて」
と言って声をかけていた。それを聞いて馬小跳がモンキーを抱いて食堂に連れてきた。ぼくもあとからついていった。それからまもなく、みんなで楽しい夕ご飯のひとときが始まった。モンキーも楽しそうに食べていた。
馬小跳のお父さんは食後にジョギングマシンに乗って体を動かす習慣があるので、今日も食後にその運動をおこなっていた。モンキーは珍しそうな顔をしながらお父さんを見ていた。モンキーがぼくに
「何をしているの?」
と聞いた。
「運動をしているのだ」
ぼくはモンキーにそう答えた。
「運動?」
モンキーが聞き返した。ぼくはうなずいた。
「ご飯を食べたあとは血糖値があがって健康によくないから、血糖値があがらないように運動をしているのだ」
ぼくはモンキーにそう説明した。するとモンキーが
「ぼくたちはご飯を食べたあとは山のなかをかけめぐっているよ」
と答えていた。
「そうだな。それも立派な運動だよ」
ぼくはモンキーにそう答えた。
「運動をすると健康によいの?」
モンキーが聞いた。
「太らないで健康な体を維持していくことができる」
ぼくはモンキーにそう答えた。するとモンキーが
「ぼくが太っていないのは運動をしているおかげかもしれないね」
と言った。
「そうだな。ブタやウシが太っているのは食べたあと運動をしないからだと思う」
ぼくはモンキーにそう答えた。
馬小跳のお父さんは運動を終えたあと、書斎に入っていって本棚から本を取り出して机の上に置いて読み始めた。書斎の入口のドアが少し開いていたので、モンキーはドアのすきまから、なかをのぞきながら
「何をしているの?」
と、ぼくに聞いた。
「本を読んでいるのだ」
ぼくはモンキーに、そう答えた。
「本を読んだら、何かいいことがあるの?」
モンキーが聞いた。
「いままで知らなかったことを知ることができたり、楽しいひとときを過ごすことができる」
ぼくはモンキーにそう答えた。それを聞いてモンキーが
「ぼくも本を読んでみようかな」
と言った。ぼくはそれを聞いて、思わずおかしくなったので、笑い出した。それを見てモンキーが
「何が、そんなにおかしいの?」
と、真顔で聞き返してきた。
「本のなかには字がたくさん書かれているから、おまえに本が読めるわけがないではないか」
ぼくはモンキーにそう言った。
「字が読めるようになったら本が読めるようになるの?」
モンキーがそう聞いた。
「そうだよ。でも字を読むのはとても難しいよ。人の話がわかるぼくでも字は読めないのだから」
ぼくはモンキーにそう答えた。
馬小跳のお父さんは一時間ほど書斎にこもって本を読んだあと、書斎から出てきて馬小跳に
「サルをお風呂に入れてやろう」
と言った。馬小跳はうなずいていた。
「いいですね。体をきれいに洗ってから山のなかに連れていきましょう」
馬小跳はそう答えていた。
それからまもなく馬小跳のお父さんはモンキーを抱いてバスルームに連れていった。シャワーのノイズを開いて、温かいお湯を出してモンキーの体にかけてやると、モンキーがとても喜んでいた。馬小跳のお父さんはジャスミンのかおりがするシャンプーをモンキーの体にふりかけてから、タオルでごしごしと洗っていた。体についていた汚れがきれいに落ちてすっきりしたモンキーは、さっぱりした顔をしながらバスルームから出てきた。馬小跳はそのあとモンキーを自分の部屋に連れていって、モンキーの濡れた体をタオルできれいに拭いてから、ドライヤーをかけて毛を乾かしていた。部屋のなかにはジャスミンのかおりがあふれていて、あまいにおいが、ぼくの鼻のなかにぷんぷん入ってきた。
ぼくとモンキーはそれからまもなく、馬小跳の部屋で寝ることにした。モンキーは睡眠時間が短いので、ぼくが眠りについたあとも起きていた。しばらくしてから、ぼくは不思議な夢を見た。海のなかに落ちて、おぼれそうになっている夢だった。海のなかは、におっていて、ジャスミンのかおりが、ぷんぷんしていた。ぼくは、はっとして目を覚ました。すると、いつのまにかモンキーの姿が消えていた。
(どこに行ったのだろう?)
ぼくはそう思って、部屋の入口のところまでいった。するとかぎがはずされていてドアが開いているのがわかった。ジャスミンのかおりが、バスルームのなかからしているのに気がついたので、ぼくは急いでバスルームのなかに行った。するとそこにモンキーがいてシャワーを浴びているのが見えた。体にはジャスミンのかおりがするシャンプーをいっぱいふりかけていた。昨晩、馬小跳のお父さんから体を洗ってもらったときに、モンキーはシャワーのノズルの開け方や、シャンプーのふたの開け方を覚えていたのにちがいないと、ぼくは思った。バスルームのなかは水浸しになっていて、水がバスルームの外まであふれていた。ぼくはびっくりして
「何をしているのだ。早くノズルを閉めろ」
と大声でモンキーに言った。するとモンキーが困惑したような顔をしながら
「開け方はわかるけど締め方はわからない」
と言った。ぼくもわからなかったので、ぼくはすぐに馬小跳の部屋に飛んで戻り、ぐっすり寝ていた馬小跳を起こした。バスルームのなかから、ジャスミンのにおいがしているのに気がついた馬小跳はすぐにバスルームのなかにかけこんでシャワーのノズルを閉めていた。水がバスルームの外まであふれ出ているのを見て、馬小跳はお父さんとお母さんにも早く知らせなければと思って、お父さんとお母さんが寝ている部屋の前までかけていって、ドアをどんどん、たたいていた。お父さんとお母さんもびっくりしてバスルームのところまでやってきた。
「まったく、このサルのいたずらには困ったものだわ。手に負えない」
馬小跳のお母さんはそう言って、厳しい顔をしながら、モンキーをじっと見ていた。
「夜が明けたらすぐに車の手配をして、どこか遠いところへ連れていく」
馬小跳のお父さんは不愉快そうな顔をしながら、そう言っていた。
それからまもなく馬小跳は、お父さんやお母さんといっしょに、明け方近くまで、水が流れ込んでいた居間や台所の床板をモップやぞうきんで拭いていた。

