天気……朝はよく晴れていたが、お昼ごろ、雲行きがにわかに怪しくなり、町の上空で竜巻がおこり、木の枝が吹きちぎられたり、砂ぼこりが舞い上がって、あちこちに、ばらばらと落ちていた。ちょうど昼食後の散歩に出かけようとしていた矢先だったので、ぼくはあわててうちのなかへ戻り、竜巻が通り過ぎるのを待っていた。竜巻はやってくるのもはやいが、通り過ぎるのもはやい。過ぎ去ったあとは何事もなかったかのように静かになった。
竜巻が通り過ぎてからまもなく、ぼくは散歩に出かけた。すると向こうから老いらくさんがやってくるのが見えた。ぼくは急いで駆け寄っていった。
「老いらくさん、大丈夫でしたか」
ぼくは老いらくさんに声をかけた。
「心配してくれてありがとう。このとおり大丈夫だ。おまえも大丈夫だったか」
老いらくさんが気遣ってくれた。
「ありがとうございます。大丈夫です」
ぼくはそう答えた。それからまもなく、ぼくは老いらくさんといっしょに湖畔にそって、しばらく歩いていた。すると捕虫網と虫かごを持って楠林のほうへ向かっている馬小跳たちの姿が目に入った。
「今日は日曜日だから、楠林へ虫取りに行っているのでしょうか」
ぼくは老いらくさんにそう聞いた。
「そうかもしれないな。楠林のなかには蝶やトンボがいるし、追いかけていって捕まえるのは楽しいからな」
老いらくさんがそう言った。
「でもスイカ―がいなくなったので、楠林へ行っても楽しさはこれまでの半分しか感じないのではないでしょうか」
ぼくは老いらくさんにそう言った。
「そうだな。でも、楠林のなかに地下道があって、そこを通って島へ行けることが分かったら、子どもたちの楽しさは半分になるどころか、二倍になるかもしれない」
老いらくさんがそう言った。
「そうですね。ぼくもそう思います」
ぼくはそう答えた。ぼくと老いらくさんは、それからまもなく馬小跳たちのあとを追って楠林のほうへ行った。ぼくと老いらくさんは楠林の入口の近くにある木の陰からそっと馬小跳たちを見ていた。馬小跳はセミをとろうとしていた。毛超はカブトムシをつかまえようとしていた。張達はトンボを追っていた。唐飛は毛超がつかまえたカブトムシで相撲をさせていた。みんな生き生きとして、楽しそうに見えた。トンボを追っていた張達の姿が急に見えなくなったので、馬小跳たちはびっくりして探し回っていた。するとしばらくしてから馬小跳たちは足を止めて、下をのぞきこんでいた。馬小跳たちの姿もそれからまもなく見えなくなった。ぼくと老いらくさんは目を白黒させながら、木の陰からぱっと飛び出して、馬小跳たちの姿が消えた場所へ駆けていった。そこは島へ通じる地下道がある入口だった。ぼくと老いらくさんが下をのぞくと、馬小跳たちの姿はもう見えなかった。みんな下へおりていって、島へ向かっている途中ではないかと思った。
「子どもたちが島に上陸して、気に入ってくれたらいいな」
老いらくさんがそう言った。
「ぼくもそう思います。馬小跳たちが気に入ってくれたら、たくさんの友だちに紹介してくれるはずです。そうすれば島にやってくる子どもが増えると思います」
ぼくは老いらくさんにそう言った。それを聞いて老いらくさんがうなずいた。
「これからは島が子どもたちの新しいパラダイスになる」
老いらくさんがそう言った。
「ぼくもそう思います。スイカ―は近いうちにきっとまた、この翠湖公園に戻ってくると思います。そしてこれからは島を拠点にして子どもたちのための楽しいショーを企画してくれると思います」
ぼくは老いらくさんにそう言った。
「わしもそう思う。スイカ―が戻ってきたら、ショーに出演する動物たちも島にやってきて、毎日、技の訓練に励みながら充実した生活を送ることができる。動物たちもうれしいだろう」
老いらくさんがそう言った。
「そうですね。ぼくもそう思います。ぼくの子どもたちもスイカ―がいなくなったあと、生きがいを失って、だらけた生活を送っていましたが、スイカ―のもとで再び訓練ができるようになったら、しゃきっとした生活に戻ると思います」
ぼくは老いらくさんにそう言った。
「動物たちを訓練したり、子どもたちに喜んでもらえることは、スイカ―にとっても生きがいだと思うから、スイカ―がこれからもずっとこの翠湖公園から出ていかないでほしいと、わしは思っている」
老いらくさんがそう言った。
「ぼくもそう思います。ただ一つだけ気がかりなことがあります」
ぼくは顔を曇らせながらそう言った。
「何だ。何が気がかりなのか」
老いらくさんが、けげんそうな顔をしながら聞き返した。
「裁判所から出された判決のなかで『被告はこれ以後、翠湖公園の楠林の近くで興行をおこなうことを禁止する』となっていたからです」
ぼくはそう答えた。すると老いらくさんが
「それだったら何も問題はないよ。スイカ―はこれからは楠林の近くではなくて、湖に浮かんでいる島のなかで興行をすることになるからだ」
と言った。
「確かにそう言われれば、そうですね」
ぼくは老いらくさんにそう答えた。
それからしばらくしてから地下道のなかから、足音が聞こえたので
(馬小跳たちが戻ってきているのだ)
と思って、ぼくと老いらくさんは、地下道の入口からさっと離れていった。地下道から出てきた馬小跳たちの姿を遠くから見ていると、みんな、にこにこしているのが分かったので、島が気に入ってくれたのだと、ぼくは思った。ぼくと老いらくさんは、それからまもなく楠林を出て、それぞれのうちへ帰っていった。
ぼくはそのあとシャオパイに会うために翠湖公園から出ていった。シャオパイはフェイナとペアを組んでスイカ―のもとでダンスを学んでいたが、スイカ―がいなくなってからは翠湖公園にやってくることがなかったので、どうしているだろうと思って気になってしかたがなかったからだ。ぼくの顔を見るとシャオパイが、びっくりしたような顔をしながらぼくの近くへ駆け寄ってきて
「笑い猫のおにいさん、どうしたの」
と聞いた。
「スイカ―のいるところが分かった」
ぼくは開口一番、そう答えた。するとシャオパイが明るい顔をしながら
「本当?」
と聞き返してきた。ぼくはにっこり、うなずいた。
「郊外にある空き家のなかで、ひっそりと暮らしている。でもまた近いうちに翠湖公園に戻ってくるかもしれない」
ぼくはシャオパイにそう答えた。するとシャオパイが歓喜しながら
「ではまた楠林の近くにある広場のなかでフェイナとダンスができるのですね」
と言った。それを聞いて、ぼくは首を横に振った。
「楠林の近くでは、することができなくなった」
ぼくはシャオパイにそう答えた。
「どうしてですか?」
シャオパイがけげんそうな顔をして聞き返した。
「裁判所から、楠林の近くで興行をしていけないという判決がスイカ―に出されたからだ」
ぼくはシャオパイにそう答えた。するとシャオパイが
「ではスイカ―はどこで興行をするの?」
と聞いた。
「湖に浮かんでいる島のなかで興行をする」
ぼくはシャオパイにそう答えた。それを聞いてシャオパイは合点がいかないような顔をしながら
「島までどうやっていくの。泳いでいくの?」
と聞き返してきた。ぼくは首を横に振った。
「楠林のなかに地下道があるから、その地下道を通っていく」
ぼくはシャオパイにそう答えた。するとシャオパイが半信半疑の顔をしながら
「そんな道が楠林のなかにあるとは全然知らなかった」
と言った。
「ぼくもつい最近まで全然知らなかった」
ぼくはシャオパイにそう答えた。
ぼくはそれからまもなくシャオパイと別れて、今度はフェイナのうちへいった。スイカ―のいるところが分かったことや、もうしばらくしたらスイカ―が翠湖公園にまた戻ってくるかもしれないことを話すと、フェイナもとてもうれしそうな顔をしていた。
「スイカ―が翠湖公園に戻ってきたら、すぐに連絡してね」
フェイナがそう言った。
「分かった。すぐに連絡するよ」
ぼくはフェイナにそう答えた。
ぼくはそれからまもなく、フェイナと別れて翠湖公園に帰っていった。
竜巻が通り過ぎてからまもなく、ぼくは散歩に出かけた。すると向こうから老いらくさんがやってくるのが見えた。ぼくは急いで駆け寄っていった。
「老いらくさん、大丈夫でしたか」
ぼくは老いらくさんに声をかけた。
「心配してくれてありがとう。このとおり大丈夫だ。おまえも大丈夫だったか」
老いらくさんが気遣ってくれた。
「ありがとうございます。大丈夫です」
ぼくはそう答えた。それからまもなく、ぼくは老いらくさんといっしょに湖畔にそって、しばらく歩いていた。すると捕虫網と虫かごを持って楠林のほうへ向かっている馬小跳たちの姿が目に入った。
「今日は日曜日だから、楠林へ虫取りに行っているのでしょうか」
ぼくは老いらくさんにそう聞いた。
「そうかもしれないな。楠林のなかには蝶やトンボがいるし、追いかけていって捕まえるのは楽しいからな」
老いらくさんがそう言った。
「でもスイカ―がいなくなったので、楠林へ行っても楽しさはこれまでの半分しか感じないのではないでしょうか」
ぼくは老いらくさんにそう言った。
「そうだな。でも、楠林のなかに地下道があって、そこを通って島へ行けることが分かったら、子どもたちの楽しさは半分になるどころか、二倍になるかもしれない」
老いらくさんがそう言った。
「そうですね。ぼくもそう思います」
ぼくはそう答えた。ぼくと老いらくさんは、それからまもなく馬小跳たちのあとを追って楠林のほうへ行った。ぼくと老いらくさんは楠林の入口の近くにある木の陰からそっと馬小跳たちを見ていた。馬小跳はセミをとろうとしていた。毛超はカブトムシをつかまえようとしていた。張達はトンボを追っていた。唐飛は毛超がつかまえたカブトムシで相撲をさせていた。みんな生き生きとして、楽しそうに見えた。トンボを追っていた張達の姿が急に見えなくなったので、馬小跳たちはびっくりして探し回っていた。するとしばらくしてから馬小跳たちは足を止めて、下をのぞきこんでいた。馬小跳たちの姿もそれからまもなく見えなくなった。ぼくと老いらくさんは目を白黒させながら、木の陰からぱっと飛び出して、馬小跳たちの姿が消えた場所へ駆けていった。そこは島へ通じる地下道がある入口だった。ぼくと老いらくさんが下をのぞくと、馬小跳たちの姿はもう見えなかった。みんな下へおりていって、島へ向かっている途中ではないかと思った。
「子どもたちが島に上陸して、気に入ってくれたらいいな」
老いらくさんがそう言った。
「ぼくもそう思います。馬小跳たちが気に入ってくれたら、たくさんの友だちに紹介してくれるはずです。そうすれば島にやってくる子どもが増えると思います」
ぼくは老いらくさんにそう言った。それを聞いて老いらくさんがうなずいた。
「これからは島が子どもたちの新しいパラダイスになる」
老いらくさんがそう言った。
「ぼくもそう思います。スイカ―は近いうちにきっとまた、この翠湖公園に戻ってくると思います。そしてこれからは島を拠点にして子どもたちのための楽しいショーを企画してくれると思います」
ぼくは老いらくさんにそう言った。
「わしもそう思う。スイカ―が戻ってきたら、ショーに出演する動物たちも島にやってきて、毎日、技の訓練に励みながら充実した生活を送ることができる。動物たちもうれしいだろう」
老いらくさんがそう言った。
「そうですね。ぼくもそう思います。ぼくの子どもたちもスイカ―がいなくなったあと、生きがいを失って、だらけた生活を送っていましたが、スイカ―のもとで再び訓練ができるようになったら、しゃきっとした生活に戻ると思います」
ぼくは老いらくさんにそう言った。
「動物たちを訓練したり、子どもたちに喜んでもらえることは、スイカ―にとっても生きがいだと思うから、スイカ―がこれからもずっとこの翠湖公園から出ていかないでほしいと、わしは思っている」
老いらくさんがそう言った。
「ぼくもそう思います。ただ一つだけ気がかりなことがあります」
ぼくは顔を曇らせながらそう言った。
「何だ。何が気がかりなのか」
老いらくさんが、けげんそうな顔をしながら聞き返した。
「裁判所から出された判決のなかで『被告はこれ以後、翠湖公園の楠林の近くで興行をおこなうことを禁止する』となっていたからです」
ぼくはそう答えた。すると老いらくさんが
「それだったら何も問題はないよ。スイカ―はこれからは楠林の近くではなくて、湖に浮かんでいる島のなかで興行をすることになるからだ」
と言った。
「確かにそう言われれば、そうですね」
ぼくは老いらくさんにそう答えた。
それからしばらくしてから地下道のなかから、足音が聞こえたので
(馬小跳たちが戻ってきているのだ)
と思って、ぼくと老いらくさんは、地下道の入口からさっと離れていった。地下道から出てきた馬小跳たちの姿を遠くから見ていると、みんな、にこにこしているのが分かったので、島が気に入ってくれたのだと、ぼくは思った。ぼくと老いらくさんは、それからまもなく楠林を出て、それぞれのうちへ帰っていった。
ぼくはそのあとシャオパイに会うために翠湖公園から出ていった。シャオパイはフェイナとペアを組んでスイカ―のもとでダンスを学んでいたが、スイカ―がいなくなってからは翠湖公園にやってくることがなかったので、どうしているだろうと思って気になってしかたがなかったからだ。ぼくの顔を見るとシャオパイが、びっくりしたような顔をしながらぼくの近くへ駆け寄ってきて
「笑い猫のおにいさん、どうしたの」
と聞いた。
「スイカ―のいるところが分かった」
ぼくは開口一番、そう答えた。するとシャオパイが明るい顔をしながら
「本当?」
と聞き返してきた。ぼくはにっこり、うなずいた。
「郊外にある空き家のなかで、ひっそりと暮らしている。でもまた近いうちに翠湖公園に戻ってくるかもしれない」
ぼくはシャオパイにそう答えた。するとシャオパイが歓喜しながら
「ではまた楠林の近くにある広場のなかでフェイナとダンスができるのですね」
と言った。それを聞いて、ぼくは首を横に振った。
「楠林の近くでは、することができなくなった」
ぼくはシャオパイにそう答えた。
「どうしてですか?」
シャオパイがけげんそうな顔をして聞き返した。
「裁判所から、楠林の近くで興行をしていけないという判決がスイカ―に出されたからだ」
ぼくはシャオパイにそう答えた。するとシャオパイが
「ではスイカ―はどこで興行をするの?」
と聞いた。
「湖に浮かんでいる島のなかで興行をする」
ぼくはシャオパイにそう答えた。それを聞いてシャオパイは合点がいかないような顔をしながら
「島までどうやっていくの。泳いでいくの?」
と聞き返してきた。ぼくは首を横に振った。
「楠林のなかに地下道があるから、その地下道を通っていく」
ぼくはシャオパイにそう答えた。するとシャオパイが半信半疑の顔をしながら
「そんな道が楠林のなかにあるとは全然知らなかった」
と言った。
「ぼくもつい最近まで全然知らなかった」
ぼくはシャオパイにそう答えた。
ぼくはそれからまもなくシャオパイと別れて、今度はフェイナのうちへいった。スイカ―のいるところが分かったことや、もうしばらくしたらスイカ―が翠湖公園にまた戻ってくるかもしれないことを話すと、フェイナもとてもうれしそうな顔をしていた。
「スイカ―が翠湖公園に戻ってきたら、すぐに連絡してね」
フェイナがそう言った。
「分かった。すぐに連絡するよ」
ぼくはフェイナにそう答えた。
ぼくはそれからまもなく、フェイナと別れて翠湖公園に帰っていった。

