未完成のワンフレーズ



精神疾患を患った少女が、自身の病と共に大切な人との思い出を紡いでいく。


というのをテーマに今作を描きました。


今作の主人公は紗綾ですが、ある意味李仁も主人公だったのでしょう。

始まりは歩道橋での出会いで、そこから何故か互いを嫌いながらも共にいるようになる。


ちなみに、前半でさっちゃんと李仁が花を見ているシーンで互いを花に例えていたんですが、
あの花にもちゃんと意味があるので是非調べてみてください。

きっと、物語の見え方が変わると思うので。


さて、

物語が大きく動き出すのは、
紗綾が李仁の病室でギターケースの中から例の写真を見つけるところから。


李仁の失敗は、あの写真を捨てられずにいたことだった。


死に戻りをしてやり直すチャンスを得ても尚、白血病からは逃げられなかった李仁は、せめて紗綾に気づかれぬようにやり直そうとしていました。


しかし、あの写真も、あの世界も李仁にとってはかけがえのないもの。

だから捨てられなかった。


それでも、李仁が愛した紗綾という少女は、真実を知っても李仁から離れようとはしませんでした。


そして最後に、あの世界で撮った写真と同じ構図で、新しい世界での写真を撮った。


きっと李仁にとって、何よりも望んでいた世界がそこにはあったのでしょう。


榊原は、何気ない日常の中で笑えることが、幸せと言えると考えます。

一つ目の世界では笑えずにいた紗綾が、新しい世界で好きな人と笑う。


そんなありふれた幸せを今作では描きました。


一人でも多くの人の心に残る作品になれば嬉しい限りです。


『未完成のワンフレーズ』


ここまで読んでくださった読者様、本当にありがとうございました。