毒を持つ娘と、毒を食う獣魔王 ~偽りの愛と復讐劇~

 毒の里・ポワゾンの住民は全員が短命だった。そして住民の全てが人間ではなく獣魔なのであれば当然、リィラの両親も。

 すでに答えは出ているのに、リィラ自身が口に出せない真実をゼンティが言葉にして伝える。

「リィラちゃんは人間じゃない。僕と同じ獣魔だよ」

 なぜだろうか。リィラは衝撃の真実を受け止めても、心のつっかえが取れたような解放感で満たされていく。
 もう迷う必要はない。魔物に成り下がるなんて人間寄りの考えも捨てられる。自分は最初から魔物だったのだから。

 リィラは獣魔でありながら、その体内には人毒が含まれている。それは人毒を捕食した獣魔の遺産であり血筋。
 両親は二人とも人の姿を得た後にリィラを産んだので、リィラは生まれた時から人の姿をしていた。

 だから、ずっと気付かなかった。自分が獣魔だったなんて。

 残酷な事件の真実をリィラに語らずに、死を待つためだけに隠れ住んでいた里の人たちの心遣いすらも。
 短い寿命を生きていくリィラの人生だけは、悲しみや復讐で狂ってほしくはなかった。何も知らないままが一番幸せだと思うから。

 ……そんな里の人の心遣いすらも、レンティが里を消滅させた事で全てが壊れた。