チェンジ・アクト!〜桁外れの演技力とメイクの力で別人潜入調査!?〜

しかし、べルル越しに帆高くんは何故か楽しそうに笑っている。

『さすが優和。覚える時間が要らないってすごすぎるよ」

え……!

確かにいつも意識していなかったけれど、演技に関してはセリフが覚えらないと悩むことは今まで一度もなかった。

数学の公式を覚えるのはあんなに時間がかかるのに。

いつもドラマを見ていても、自然とセリフを覚えていたし。

私の返答を聞いて、伊月さんの目つきが変わったのが分かった。

「覚えるのが早くても、演技が上手くなかったら意味がないから」

演技が上手くなかったら……私の演技は上手いのだろうか。

帆高くんや未来ちゃんは私の演技力を評価してくれているけれど、他の人は知らない。

だって、見せたことすらないから。

そう、私は自分の演技を見せることも出来ない臆病者。

それでも、演技が大好きで、自分じゃない誰かになれるこの瞬間を楽しめている。

にしても男子高校生のフリをして、入団審査の演技までするなんて、まさに二重演技。

でも、何故か緊張とか不安より、ワクワクが勝ってしまう。