その翌日も、大尼君と見知らぬ女のために病気回復のお祈りがつづけられる。
そこへこのあたりに住んでいる男がやって来た。
昔僧都にお仕えしていた男で、僧都が宇治の院にお越しになっていると聞いてご挨拶に上がったみたい。
いろいろと世間話をするなかで申し上げる。
「昨日ご挨拶に上がろうと思ったのですが、急な仕事が入りまして。亡き八の宮様の姫君で、薫の君の恋人だった方が、とくにご病気というわけでもなくお亡くなりになったそうなのです。そのご葬儀のお手伝いに行っておりました」
僧都は、
<もしかしたらその女君の魂が鬼に連れられてここまで来て、人間の姿になっているのだろうか>
と考えてごらんになるけれど、魂でできた幻の姿ならいつか消えてしまう。
それも恐ろしい。
「そういえば昨夜、遠くに火葬のような火が見えましたね。でも、ほんのわずかでしたよ」
女房が怪しむと、
「わざとあっけないご葬儀になさったようです」
と答えて男は帰っていった。
女房たちは首をかしげて、
「大君ならもう何年も前にお亡くなりだけれど、いったい誰と勘違いしているのかしら。それに薫の君は女二の宮様とご結婚なさっているのだから、他の女君を恋人になさるとは思えないわ」
などと言っている。
そこへこのあたりに住んでいる男がやって来た。
昔僧都にお仕えしていた男で、僧都が宇治の院にお越しになっていると聞いてご挨拶に上がったみたい。
いろいろと世間話をするなかで申し上げる。
「昨日ご挨拶に上がろうと思ったのですが、急な仕事が入りまして。亡き八の宮様の姫君で、薫の君の恋人だった方が、とくにご病気というわけでもなくお亡くなりになったそうなのです。そのご葬儀のお手伝いに行っておりました」
僧都は、
<もしかしたらその女君の魂が鬼に連れられてここまで来て、人間の姿になっているのだろうか>
と考えてごらんになるけれど、魂でできた幻の姿ならいつか消えてしまう。
それも恐ろしい。
「そういえば昨夜、遠くに火葬のような火が見えましたね。でも、ほんのわずかでしたよ」
女房が怪しむと、
「わざとあっけないご葬儀になさったようです」
と答えて男は帰っていった。
女房たちは首をかしげて、
「大君ならもう何年も前にお亡くなりだけれど、いったい誰と勘違いしているのかしら。それに薫の君は女二の宮様とご結婚なさっているのだから、他の女君を恋人になさるとは思えないわ」
などと言っている。



