「これは間違いなく人間だ。死にそうになっているのに見捨ててはいけない」
僧都が弟子たちをお止めになる。
「殺されそうになっている魚や鹿を見て、助けずに見捨てればつらいだろう。それと同じだ。命は儚いものだが、最後の一日まで大切にしなくてはならない。
どんな災難に遭ったのか分からないが、まだ生きられたはずの若い人が死んでいくのだ。仏様は必ずお救いくださるだろう。それまで私たちが世話してあげようではないか。看病の甲斐なく死んでしまったら、それはもう仕方のないことだ」
お供に命じて女を建物のなかに入れておやりになる。
下働きの者たちに騒がれないように、人目の少ない場所に寝かせておかれる。
弟子たちは僧都の慈悲深さにあれこれ言う。
「厄介なことになった。ひどいご病気の大尼君がもうすぐ到着なさるというのに、得体の知れないものがいたら、きっと悪化してしまわれるだろう」
「いやいや、狐だろうと人間だろうと、生きている者をこんな雨のなか放っておいて死なせるのは罰当たりだ」
それぞれ考えがあるのよね。
僧都が弟子たちをお止めになる。
「殺されそうになっている魚や鹿を見て、助けずに見捨てればつらいだろう。それと同じだ。命は儚いものだが、最後の一日まで大切にしなくてはならない。
どんな災難に遭ったのか分からないが、まだ生きられたはずの若い人が死んでいくのだ。仏様は必ずお救いくださるだろう。それまで私たちが世話してあげようではないか。看病の甲斐なく死んでしまったら、それはもう仕方のないことだ」
お供に命じて女を建物のなかに入れておやりになる。
下働きの者たちに騒がれないように、人目の少ない場所に寝かせておかれる。
弟子たちは僧都の慈悲深さにあれこれ言う。
「厄介なことになった。ひどいご病気の大尼君がもうすぐ到着なさるというのに、得体の知れないものがいたら、きっと悪化してしまわれるだろう」
「いやいや、狐だろうと人間だろうと、生きている者をこんな雨のなか放っておいて死なせるのは罰当たりだ」
それぞれ考えがあるのよね。



