その後は、わざわざお手紙を送るのも気恥ずかしくていらっしゃる。
それでもちらりと見た女君の姿をお忘れになれない。
物思いにふけっているということも、男性にとっては魅力的なのよね。
翌月、中将様は用事のついでに小野の家にいらっしゃった。
女房を通じて、
「姫君に一目ぼれしてしまったのです」
とおっしゃる。
浮舟の君はまったくお返事するつもりがなさそうなので、尼君がお返事なさった。
「何もお話しにならないので、私にもはっきりとしたことが分かりません。心に決めた人がいらっしゃるのか、それとももう少ししたらお気持ちが変わるのか」
尼君が客席の近くまで出ると、中将様は熱心にお願いなさる。
「姫君はお悩みを抱えておいでとのことですが、どのようなご境遇なのでしょうか。私も人生を楽しめず、いっそ出家したいと思いながらも、両親が嘆くだろうと遠慮しております。今の妻は正反対の陽気な性格ですから話が合わないのです。ぜひこちらの姫君に話し相手になっていただきたい」
「たしかにそういうお話し相手には最適な人かもしれませんが、今のところ結婚にご興味がないようなのです。ひどく世間を恐れて、尼になりたいとしかおっしゃいません。ただ、年老いた私でさえ、いざ出家するときには心細く思いましたからね。あれほどお若い人が出家なさっても、寂しい修行生活に耐えていけるかどうか」
尼君はまるで母親のように心配しておっしゃる。
それでもちらりと見た女君の姿をお忘れになれない。
物思いにふけっているということも、男性にとっては魅力的なのよね。
翌月、中将様は用事のついでに小野の家にいらっしゃった。
女房を通じて、
「姫君に一目ぼれしてしまったのです」
とおっしゃる。
浮舟の君はまったくお返事するつもりがなさそうなので、尼君がお返事なさった。
「何もお話しにならないので、私にもはっきりとしたことが分かりません。心に決めた人がいらっしゃるのか、それとももう少ししたらお気持ちが変わるのか」
尼君が客席の近くまで出ると、中将様は熱心にお願いなさる。
「姫君はお悩みを抱えておいでとのことですが、どのようなご境遇なのでしょうか。私も人生を楽しめず、いっそ出家したいと思いながらも、両親が嘆くだろうと遠慮しております。今の妻は正反対の陽気な性格ですから話が合わないのです。ぜひこちらの姫君に話し相手になっていただきたい」
「たしかにそういうお話し相手には最適な人かもしれませんが、今のところ結婚にご興味がないようなのです。ひどく世間を恐れて、尼になりたいとしかおっしゃいません。ただ、年老いた私でさえ、いざ出家するときには心細く思いましたからね。あれほどお若い人が出家なさっても、寂しい修行生活に耐えていけるかどうか」
尼君はまるで母親のように心配しておっしゃる。



