中将様はそれから山に登ると、僧都のお住まいを訪ねて世間話をなさった。
夜は、僧都の弟子になっている弟君のところにお泊まりになる。
「ここに来る前、亡き妻の母君のお屋敷に寄ってきたよ。寂しい尼君になっていらっしゃるが、今でも品のよいご婦人だ。そこでめずらしい人を見かけた。簾の隙間から後ろ姿を見ただけだが、間違いなく若い美人だ。あんな尼君ばかりのお屋敷に置いておくのは気の毒なほどの人だった」
「その女性なら、僧都様の母尼君と妹尼君が長谷寺へお参りなさって、その帰りにお見つけになった人だそうですよ」
弟君はよく知らないことだから、それだけおっしゃる。
「そんないきさつがあったのか。どういう人なのだろう。あんなところに隠れ住んでいらっしゃるくらいだから、よほど深い事情がおありなのだろうね。なんだか昔話のようだ」
ますます中将様のお心は惹かれる。
夜は、僧都の弟子になっている弟君のところにお泊まりになる。
「ここに来る前、亡き妻の母君のお屋敷に寄ってきたよ。寂しい尼君になっていらっしゃるが、今でも品のよいご婦人だ。そこでめずらしい人を見かけた。簾の隙間から後ろ姿を見ただけだが、間違いなく若い美人だ。あんな尼君ばかりのお屋敷に置いておくのは気の毒なほどの人だった」
「その女性なら、僧都様の母尼君と妹尼君が長谷寺へお参りなさって、その帰りにお見つけになった人だそうですよ」
弟君はよく知らないことだから、それだけおっしゃる。
「そんないきさつがあったのか。どういう人なのだろう。あんなところに隠れ住んでいらっしゃるくらいだから、よほど深い事情がおありなのだろうね。なんだか昔話のようだ」
ますます中将様のお心は惹かれる。



