野いちご源氏物語 五一 浮舟(うきふね)

何もご存じない薫(かおる)の君(きみ)のところにもお返事が届いた。
のんびりとお読みになりながら、
<かわいそうに、宇治(うじ)で寂(さみ)しくしているだろう>
と恋しくお思いになる。
「私に同情するかのように雨が降りますので、袖(そで)が涙に濡(ぬ)れて重くなります」
と書かれているのを、お手から離さずじっとご覧になる。