二月に入ってしばらくしたころ、内裏で中国の詩を作る会が開かれた。
匂宮様も薫の君も参加なさる。
季節の音楽なども演奏されて、宮様は美しいお声で『梅が枝』という歌をお歌いになった。
何もかも人並み外れてすばらしい方なのよ。
許されない恋にいらいらなさることだけが罪深くていらっしゃる。
雪と風が急に激しくなってきたので、音楽会は早めに終わりになった。
内裏のなかの、宮様が頂戴なさっているお部屋に貴族たちが集まる。
お食事をして皆様お休みになった。
薫の君が少し外に近いところにお出になると、お庭には雪が積もりはじめているみたい。
星の光は弱くてよく見えない。
そんななかでも香りだけははっきりと分かるわ。
薫の君のすばらしい香りは、闇夜の梅の香りと同じように、そこに薫の君がいらっしゃることを伝える。
「寒い夜だ。宇治の姫は寂しい独り寝をしているのだろう」
昔の和歌を口ずさまれたのを、宮様は聞き逃されなかった。
寝たふりをしていらっしゃるけれどお心が騒ぐ。
<私と姫の関係を知らないからだろうが、よくも私の近くであんな和歌を。薫の君なりに大切にしているらしい。今夜の姫の寂しさを、私だけでなく薫の君も想像しているのだ。とはいえ仲間と言ったらおかしいだろう。実際のところは姫をめぐる敵で、しかも勝つ自信も見込みもない。あれほどすばらしい恋人をさしおいて、どうして私が選ばれることがあるだろう>
と、つい嫉妬してしまわれる。
翌朝、雪は高く積もっていた。
詩の会の続きが行われる。
帝の御前にお上がりになった匂宮様は、今が男盛りでいらっしゃる。
薫の君は宮様よりひとつ年下だけれど、むしろもっと落ち着いたご様子で、上品な男性のお手本のようよ。
「帝の婿君にふさわしい人だ」と世間も納得している。
外見だけでなく、学問の知識や政治家としての才能も優れていらっしゃるのでしょうね。
詩のご披露がすんで、参加者は退出なさる。
宮様の詩は好評で、貴族たちはほめそやしながら繰り返すけれど、ご本人はとくにうれしくも思われない。
<私は詩の会どころではない。どうして皆、のんきにこんなことをしていられるのだ>
と上の空でいらっしゃる。
匂宮様も薫の君も参加なさる。
季節の音楽なども演奏されて、宮様は美しいお声で『梅が枝』という歌をお歌いになった。
何もかも人並み外れてすばらしい方なのよ。
許されない恋にいらいらなさることだけが罪深くていらっしゃる。
雪と風が急に激しくなってきたので、音楽会は早めに終わりになった。
内裏のなかの、宮様が頂戴なさっているお部屋に貴族たちが集まる。
お食事をして皆様お休みになった。
薫の君が少し外に近いところにお出になると、お庭には雪が積もりはじめているみたい。
星の光は弱くてよく見えない。
そんななかでも香りだけははっきりと分かるわ。
薫の君のすばらしい香りは、闇夜の梅の香りと同じように、そこに薫の君がいらっしゃることを伝える。
「寒い夜だ。宇治の姫は寂しい独り寝をしているのだろう」
昔の和歌を口ずさまれたのを、宮様は聞き逃されなかった。
寝たふりをしていらっしゃるけれどお心が騒ぐ。
<私と姫の関係を知らないからだろうが、よくも私の近くであんな和歌を。薫の君なりに大切にしているらしい。今夜の姫の寂しさを、私だけでなく薫の君も想像しているのだ。とはいえ仲間と言ったらおかしいだろう。実際のところは姫をめぐる敵で、しかも勝つ自信も見込みもない。あれほどすばらしい恋人をさしおいて、どうして私が選ばれることがあるだろう>
と、つい嫉妬してしまわれる。
翌朝、雪は高く積もっていた。
詩の会の続きが行われる。
帝の御前にお上がりになった匂宮様は、今が男盛りでいらっしゃる。
薫の君は宮様よりひとつ年下だけれど、むしろもっと落ち着いたご様子で、上品な男性のお手本のようよ。
「帝の婿君にふさわしい人だ」と世間も納得している。
外見だけでなく、学問の知識や政治家としての才能も優れていらっしゃるのでしょうね。
詩のご披露がすんで、参加者は退出なさる。
宮様の詩は好評で、貴族たちはほめそやしながら繰り返すけれど、ご本人はとくにうれしくも思われない。
<私は詩の会どころではない。どうして皆、のんきにこんなことをしていられるのだ>
と上の空でいらっしゃる。



